星新一「どんな素晴らしい道具も、使い方が分からないと駄目!」

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公開日: 2015年9月20日日曜日 ネット小説 星新一

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星新一「どんな素晴らしい道具も、使い方が分からないと駄目! 2015
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ユリアン(´・ω・`)こんな道具あったら・・・ニートが絶対増える・・・・




ヤン(´・ω・`)漫画家とか小説家とかには羨ましい道具だと思うよ。
  • 本日の「人間は楽をしたがる生き物」ネタのラストいきまーす(´・ω・`)

    パヌメ氏は町外れに小さな家を建て一人で住んでいた。仕事は廃品回収業。方々の家庭を回り、不要の品を集めてきてそれを売っていくらかの利益を上げる単純な仕事しかし命令も管理されることもなく、熱心に励んでいた。
    ある日、朝早い時刻、パヌメ氏は枕もとの物音で目が覚めた。 
    起き上がってみると、そこには妙な服を着た中年の男が立っている泥棒かと思ったが、それならばもっと景気のいい家を狙うだろう、それに泥棒にしてはどこか上品だし、妙なことを叫んでいた。
    いやに嬉しがり、踊りだしそうな様子だったその姿を見てパヌメ氏は質問せずにはいられなかった。
    「あなた誰なんですか勝手に人の家に入ってきて大騒ぎとは常識外れでしょ」
    「いや失敬、ついに長年の念願が叶ってやっと来れたのですから喜ばずにはおれません」
    「来れた? いったいどこからですか?」
    「もちろん現代から………っと、それでは意味が通じんませんね、貴方にとっては現代の出来事ですが私にとっては過去の出来事。 つまり私は未来からきたのです」
    パヌメ氏が何回も問答を続けるうち、様子が分かってきた彼は博士と名乗り、苦心してタイムマシンを作り上げた。そして時をさかのぼり、おりたところがここだったというのだ。
    「ここに来れたということが 私の実験の正しさの証明になるのです、これでははしゃぎたくなるのも当然でしょう」
    「それで、タイムマシンはどこに置いているんですか?」
    博士は、ガラクタでいっぱいの庭を指差した。そこに大型トラックぐらいの大きさの見慣れぬ不思議な機械があった。
    「すまないが、あのタイムマシンをあそこにしばらく置かせてもらえませんか?」
    「かまいませんよ、しかし、私はもうすぐ着替えて仕事に出るのであなたの相手はできません。あの庭のガラクタを売ったり買ったりするのでね 結構気に入ってる仕事なんですよ」
    「こ、これはカメラではないですか!?  ハンガーにネジ、本まである! 素晴らしい!! まったくもって素晴らしい!!」
    「いやに感激してますけど、何が面白いんです? ここにあるのは古いものや壊れたものばかりですよ直さないことにはどうにもなりません」
    「かまいません。君の家ごと売ってくれ我々の時代では、こういった品物は博物館にしか置いていないのだ 非常に高価になっており、欲しがる人はいくらでもいるのだよこれを運んでいけばタイムマシンの建造費くらいすぐにでも回収できる」
    「そういうものなんですかね しかし家まで買っていただけるならありがたい 喜んでお売りしますよ」
    商売になると、パヌメ氏もあいそがよくなった、こんなに大喜びで買ってくれる人など他にないのだ。
    「しかし一つ問題がある。私はこの時代の金を持っていないのだ未来では古銭も紙幣も非常に高価でして。どうだろう、物々交換でゆずってはもらえませんか」
    「何を持っているんですか?」
    「実は、タイムマシンが故障して帰れなくなった時のために自給自足式の標準型自動的住居セットというものを持ってきました気に入ってくれるといいのですが」
    「なんですか、その自動的住居セットというのは」
    「そう思うのはごもっともでは今から組み立ててご覧にいれましょう」
    博士はタイムマシンの中から大きな箱を持ち出してきた中身はよく分からない機械でいっぱいで、博士はそれを組み立て始めた。プラスチックのような材質でできた、小さな家ができあがった、てっぺんには皿のような屋根がくっつき、地下に埋めたパイプと屋根から伸びたアンテナが連結された。
    「これで食料が確保されました地下の水分や物質、日光や酸素それらを合成して食べ物が出来る。植物のやっていることをスピードアップしたと思えばいいです」
    それから博士は、窓やドアや風呂場や台所にも各種の装置を取り付け、配線をし、最後に全てを時計に連結した。
    「さあ、中に入ってください。これで食と住の心配がなくなりました夕方になると自動的に窓やドアの鍵が閉まり、風呂が沸き一定時間ごとに掃除や洗濯も行われるといった具合です私の時代ではこれを好きなところに運んで組み立て別荘として使っています」
    「これ、本当にそんなに便利なのですか?」
    「そう思うのは当然、ならば、一日一緒に暮らしてその作用を見てみましょうか」
    その説明のとおりだった。この家の一日の作用を示すとこうなる、まず朝の七時、目覚ましが鳴り窓が透明になって朝日を迎え入れる 。続いて食事が現れる。やわらかいが新鮮な味の食品だ。食べ残すとそのまま壁に消えていく。食事は昼も夜も出現した。風呂の湯の入れ替えも掃除も自動的にやってくれていた。
    「この時計は絶対に狂わず、止まらない。自動装置はこれと連結しているために、このように動く私の時代では皆規則正しい生活をしているのだがこの時代ではどうですかな?」
    「い、いえ、大丈夫ですよ」
    パヌメ氏はあわてて答えた、不規則な生活と答え、せっかくの便利な家をもらい損ねては大変だ。
    「それなら結構。しかし仕掛けを調べようとへたにいじらないようにそれで故障しても、修理にやってくるというわけにはいきませんからね」
    「もちろん大切にしますしかし素晴らしい住宅装置ですね高いんじゃないですか?」
    「なになに、たいしたことはないですよ君からもらう品のほうがはるかに高価なのですからね」
    それから博士はガラクタの数々を大事そうに箱に入れて次々にタイムマシンに運び込んでいった。便器、ヌード雑誌、おもちゃの勲章までありがたがっていた。
    家もギンガナム博士が手持ちの道具を何度か振るとあっという間に切断され、タイムマシンに運び込まれた。
    「お世話になりましたでは、さようなら」
    「こちらこそ、あんな素晴らしい家をありがとうございました」
    タイムマシンは一度輝き、それはしだいに薄れて消えた。時間の中を動き、未来に帰っていったのだろう。
    博士のくれた家は、ずっと作用し続けたパヌメ氏の生活ははなはだ快適なものになった。故障も起こらず、衣食住にはなんの不自由もなかった。
    もっともある日、友人と遅くまで飲んで帰った時、ドアが開かなかった。昼間なら本人と識別して開けてくれるのだが、どうしてもだめだったこんなとき開ける方法もあるのかもしれないが、聞いておかなかった。パヌメ氏は、外で朝を待つほかなかった。 
    しかし、こんなことは例外。時計に合わせて生活していればいいのだ。働かないで家で寝そべっていたって美味い食事が出てくるパヌメ氏はしだいにその環境に身を任せていった。
    彼は最小限しか働かなくなった。いくらかの現金さえあればいいあとの時間は好きな趣味に使っていてもいいのだ。
    だが彼は、そのうち様子のおかしいことに気がついた。調べてみると、その原因はどうやら時計にあるようだった    ラジオの時報と比べてみると、この時計の一日は20秒多いのだ博士の未来では、地球の自転が今より少し遅くなっているらしい。
    「しかし、まあたったの20秒だそれだけのためにこの生活を捨てるなんてバカバカしい! 飯は美味いし全ては自動で進むいまさら普通の人みたいな生活なんてできないよ」
    それからまた何年か過ぎた一日に二十秒でも、累計すれば大きくなるパヌメ氏の生活は妙なものになった。
    午後の十時ごろになると装置がおはようございますと声を上げて起こしてくる。続いて朝食。その時に食べないと消えてしまうむりにとっておくと味がまずくなる。ここで食べるしかない。
    他人との付き合いはできなくなった。
    彼はひとりぼっちの生活をやめたほうがいいのかどうかこの便利きわまる家のなかで、いまだに迷いつづけている。

    元ネタ:星新一[未来人の家]
    パルメさんだったらこの生活続けますか?(´・ω・`)
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  • >パルメさんだったらこの生活続けますか?(´・ω・`)

    (´・ω・`)その家を高値で、大富豪に売りつけて、金銭を得る。

    (´・ω・`)不要な物は売ればいいんじゃよ。
    幸い、日本は金持ち多いし。
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  • >(´・ω・`)その家を高値で、大富豪に売りつけて、金銭を得る。

    (´・ω)|壁 パルメさんは手放すのか。「金持ちへのコネクションなんてあったの?」という無粋なツッコミは無視しても
    >ドアが開かなかった。昼間なら本人と識別して開けてくれるのだが
    とあるから、仮に売り払ってもパルメさんがいないとセキュリティが働いて金持ちは入れないからパルメさんは詐欺罪で捕まるな南無南無(´-ω-`)
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  • (´・ω・`)そんなー 利権の敵になってまうー
  • ユリアン(´・ω・`)提督は便利な生活と、ボッチ。
    どっちを選びますか?



    ヤン(´・ω・`)ユリアンがいるから、私にはこの便利な家は要らないさ。
    それに銀河英雄伝説世界の家の方が、たぶん便利だと思うよ・・・・


    ユリアン(´・ω・`)僕を、一生家事奴隷として使うつもりか!?
    アンタは!

    5 件のコメント :

    1. パルメさんの解釈は「どんな素晴らしい道具も、使い方が分からないと駄目!」だけれども。
      自分の解釈としては、「(秩序)管理される便利だが不自由な社会、(混沌)管理されない不便な自由ある個人の2つの縮図」かな。

      機械が世話をしてくれるけれども、世話した人の都合で生きることになる、秩序ある生活
      (社会の歯車になればルールを守れば社会が守ってくれるが、ルールに縛られて自分の思うままにうごけなくなる)

      機械に世話してもらえない代わりに、自分で寝る時間や食事の時間を決め友達と遊んだりする時間とかも決められる、自由混沌な生活。
      (自分勝手に振る舞うと逆に、ルールに縛られず自分で物事を選択できるが自分の世話は自分で見ることになりその分不便になる)
      どちらも一長一短だよね。

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      1. (´・ω・`)つまり・・・こういう事か!

        社畜(´・ω・`)激務だけど金はある。安定してる。

        ニート(´・ω・`)収入がないけど自由、辛いよう

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      2. うむ、規模は小さいが不自由になるが義務を果たしていれば便利な権利を使えるという意味なのであながち間違っていない。
        社員として義務をこなしていれば守られる権利があるので会社が守ってくれるが、
        ニートなら義務がないが守ってもらえる権利もないからね。

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      3. ブラック企業で義務ばかりで守ってもらえる権利がない場合?
        それは労働基準法違反なので、ちゃんと税金払っている市民として国が守ってくれるので労働局に訴えましょう。

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      4. 社畜システム・スタンバイ!
        戦慄のパルーが今始まる。

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    マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。