6話 ~大規模な国家事業【水堀】を大天使パワーで頑張るお~

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公開日: 2015年2月5日木曜日 自作小説 迷宮都市の王さま ~国家運営したいのに迷宮が邪魔すぎる件~






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迷宮都市の王さま ~国家運営したいのに迷宮が邪魔すぎる件~HP


岩山で一晩宿泊した後、俺達は朝になってから巨大な岩山の周りを歩きまわり、ハンマーを使って水堀を掘る予定の場所に杭を次々地面に打ち込んだ。
俺は空を飛べるから、地上に打ち込んだ杭を空から観察すれば、最終的にどのような感じの水堀が出来上がるか分かるから、この方法を取っている。
大昔の日本の豪族が古墳を作る時も、これと似たような方法をやっていたからな。
現代人の俺にだって、これくらいの事は思い付くんだ。
出来れば、後の人口増加の面を考えて、広大な面積の安全地帯を確保した方が良いから当初の計画よりも長い水堀を掘る予定である。
 

今の所、ちょうど千葉県茂原市(面積100.01平方km 人口9万人)くらいの大きさになる予定だ。
     約10km 
水水水水水水水水水水水水水水水水 ゴール地点 湖

水                       湖

水                        湖
水約10km         
水       岩山    
水        
水                      湖


水      約10km   
水水水水水水水水水水水水水水水水水水 俺 スタート地点 湖   

工事終了まで何日かかるか分からないが、一日でも早く終わらせる事が一番だ。
岩山の周りをグルリと一周して、掘る予定の場所だと示す杭を全て地面に打ち終えた後、俺はスコップを手に取る。
穴を掘って掘りまくる苦行が待ち受けているが、俺を慕ってくれる女達に安住の地を与えるために必要な行いだ。
そう思えば、【刺身の上にたんぽぽ】を載せる仕事よりも遥かに頑張れる。
なぜなら人類の命運をかけた大事業だからだ!
俺はスコップを大きく振り上げ、景気よく叫んで穴掘りをスタートした。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!刺身の上にたんぽぽぉぉぉー!」

「主様の掛け声は不思議なんじゃよ。
刺身の上にたんぽぽってなんなのかの?」

テレサちゃんのツッコミを無視してスコップは地面を掘る。掘った土を遠くへと捨てる。地面を掘る。土を遠くへと捨てる。
この間、地面がスプーンのように柔らかく感じた。
いや、俺の力が凄すぎるんだ。圧倒的な力があるせいで穴掘りが全く苦にならないだけなんだ。
10分がすぎる頃には、この場所には30mサイズの大穴が出来ていた。
あとはこれを横に広げるだけ……いやいや、地面が崩れて俺が埋まるだろ。
上を見上げると、穴の上から俺を見下ろすテレサちゃんとアリサちゃんの顔が見える。
現実と理想って難しい。
歴史上の偉人達はこういう現実とのギャップを克服して頑張ったのか。そりゃ歴史に名前が残るよな。

「主様や。
大丈夫なのかの?」 テレサちゃんの心配そうな目線が今の俺にはきつい。

「……すまん、いきなり計画が頓挫した。
この深さから掘ったら、崩れて俺が生き埋めになるよな。
どうすればいいんだ」

大穴の底で俺がうなだれたら、ピコーンっ!と良い発想が思い浮かんだアリサちゃんが声をあげた。

「主殿、私がいい方法を考えましたぞ。
まず浅い塹壕を目的地まで掘ってから、そこから深くするなり広げたりすればいいのでは?
パルメ(´・ω・`)さんの本によると、塹壕陣地というらしいです。
ほれ、この本を読んでくだされ」 

アリサがパルメ(´・ω・`)さんの本を穴の底へと落としてきた。
俺はそれをキャッチし、ページをペラペラめくると、塹壕のページが出てくる。

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塹壕を作って防衛戦で軍事チート
http://suliruku.blogspot.jp/2013/09/blog-post_7784.html

(´・ω・`)塹壕は、射程距離が延び過ぎた銃器とかから兵士達の身を守るために作る大きな溝の事だよ。
 スコップとかで地面を掘りまくり、鉄砲の脅威を可能な限り減らすんだ。
 (´・ω・`)機関銃が開発されている時代なら、機関銃を用いた火力集中で敵軍の数任せの正面突破も粉砕できるし、それなりに使われているチートなんだよ。
  
 (´・ω・`)最大の問題点は、こんなジメジメした不衛生な所で長期戦やるから、兵士達の精神は可笑しくなるわ、病気でばたばたとくたばって死ぬわと悲惨だよ。
 基本的に塹壕という発想がない世界な事が前提でも、短い間しか大活躍させられないね。
 塹壕が活躍した後は、相手側も真似するから、戦争が長期化してひたすら兵士達が穴掘りをする事になる。
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相変わらず、パルメ(´・ω・`)さんの知識は中途半端だ。
でも、溝を掘ってそこから少しづつ深くしていけば、いずれ水堀が完成しそうだ。
という事でまずは深さ3mサイズの塹壕を掘ろう、塹壕。
そうすればモンスターの往来も妨害できるし、一時的に目的を達成した事になる。
考えて見て欲しい。深さ3mの溝がずーと横に続いてたら、さすがに背の低いモンスターは通らんだろう。
最終的に周りを舗装して水をそこに流せば、余計に通行する気がなくなるはずだ。
パルメ(´・ω・`)さんの本もたまには役に立つな。






一度、俺は空を飛んで30mの穴の底から地上へと戻り、深さ3mサイズの塹壕を掘る作業を新たに開始した。
舗装作業の工程は、深さ30mの穴を掘るまでやらないから、仕事から開放されたテレサちゃんは、アリサちゃんと一緒に周辺を警備し、モンスターを狩る仕事についてくれる。
二人とも可憐な女性だが、心は俺よりも強い。
そんな二人のためにも頑張るぞ。スコップで塹壕を掘るんだ。
心の中の合言葉は刺身の上にタンポポ、テレサちゃんにタンポポ、アリサちゃんにタンポポ。
可愛い女の子達のためならば、幾らでも頑張れる。
この仕事を達成した暁には……二人にプロポーズして結婚しよう。
家庭を持つのは憧れだった。
俺の手で二人を幸せにして、生き残った人類の道を切り開くんだぁーと思いながら穴を掘っていたら、深さ3mの塹壕の長さは50mくらいになっていた。
しゅごい。
この身体やばい。マッスルしゅぎる。
最新の重機でもそんな性能ねぇよーと言いたい。
しかも、塹壕の中に迷い込んだモンスターがいるらしく、後方で戦闘音が聞こえている。
刀でモンスターを斬り裂くスパッ!という音や、魔法による炸裂音が塹壕の中で響いていた。

「何をやっとるんじゃアリサ!
塹壕に入る前にモンスターを殺さんと駄目なんじゃよ!」

「テレサ殿、今は文句を言うよりも、侵入したモンスターを殺す方が先決ですぞ?」

「言われなくてもわかっとんじゃよ!オリーシュ・アロー!」

俺、守られてる。
若くて可愛い女の子達に守られて、仕事に集中できる。
穴を掘れ、穴掘れ、穴掘れ。
スコップを効率よく動かせ。
手だけを使うんじゃない。
身体全体を使うようにして、スコップに篭められる力を増やすんだ。
そうすればもっと早く、一度に大量の土を掘れる。
俺は単純作業の達人。
地球で屈指の単純作業の玄人と言っても過言ではない。
どんどん掘れ掘れ掘れ掘れ。
人類のためだ。アリサたんのためだ。テレサたんのために穴を掘れ掘れ。
第一次世界大戦のような巨大な塹壕を作り上げるんだ。








……ひたすら地面を掘る事に夢中になっていたら、太陽が真上へと登っていた。
つまり正午。
たった3時間足らずの作業なのに、長さ3kmほどの塹壕が出来ている。
おかげで塹壕の中を地上から落下してきたモンスターがうようよしているから、アリサもテレサも塹壕の中に入り、俺を背後から護衛してくれていた。
出来れば、作業にもっと集中したいのだが3時間続けて身体を動かしたせいでお腹が空いている。
人間、お腹が空いたら戦争や労働は出来ないのだ。
スターちゃんのご飯まだかなーと思ったら、地上からスターちゃんの可憐な声と、柴犬シバの「ワン!」が聞こえた。

「天使様~!
昼ご飯の用意ができましたよー!
おにぎり30人前ですー!
……えと、これで足りますか?」

「おう!昼飯ありがとう!
今からそっちへ行く!
テレサちゃん、アリサちゃん休憩タイムだ!」

この俺の言葉に、背後でモンスター達と戦っていたテレサとアリサは、少し疲れながらも返事を返してくる。

「わっちの飯は主様の血なんじゃよ」「テレサ殿、血を大量に飲むのはやめなされ」

二人が戦闘を放棄してこっちへと駆け寄ってきたから、俺は二人の身体を抱きしめて、3mの塹壕の穴の中から飛び出た。
皆、塹壕の中での作業のせいで泥だらけで汚いが、俺は気にしない。
地上に戻ると、柴犬に乗ったスターちゃんの姿を視認した。
今日は緑色のワンピースドレスで着飾っていて可憐で美しい。
ちゃんとスターちゃんの引き締まった太ももが見えるナイスデザイン。
スターちゃんは俺のそんな視線を気にせずに、微笑んで

「天使様~お約束のご飯です~」

両手に持っている大きな袋を掲げた。
袋の中には、ホカホカの白米で構成された手のひらサイズのオニギリが大量に入っている。
試しに一個掴んで、ムシャッ!と食べてみると米だった。
米だった。
上手い。塩を全く使ってないようだが、純粋に米の味が好きだ。
きっとモンスターを倒すと……品種改良された米を落とすのだろう。
うーむ、物理法則が不思議しゅぎる。
でも、この世界でも美味しい米を食べられるのは良い事だ。

「天使様、僕が頑張って握ったんですけど、お味はどうですか?」

……スターちゃんが俺のためにオニギリを握ってくれた。
俺、幸せしゅぎる。
外見年齢15歳くらいの可憐なエルフ娘が、俺のためにオニギリを握り好意を抱いている。
なんで、俺、こんなに幸せなんだろう。
涙がポロポロ出てきた。あ、涙と一緒に食べるとオニギリが塩辛くて美味しい。
これはもう感謝の心を言葉で示すしかないじゃないかっ……!

「う、うまい」

「な、泣くほど美味しんですか?僕のオニギリ?」

「うん、美味い。
このオニギリにはスターちゃんの暖かい心が詰まっている。
スターちゃんは良いお嫁さんになれるぞ」

「お、お嫁さんと言われても……」

スターちゃんが顔を赤らめて恥ずかしそうにしてて、凄く可愛い。
なんか戦国時代を征して、大勢の美女とハーレムやった豊臣秀吉の気持ちが凄くわかる。
こんなに良い娘がそこらへんにいて、権力使って結婚できるなら強引に手に入れるよな。
女に溺れる独裁者の気持ちがわかる。最高級の女性って至高の芸術品なんだ。
アリサちゃんはおっぱいが美しい、テレサちゃんはロリロリで肌が美しい、スターちゃんは太ももが美しい。
……皆、俺の嫁になってくれないかな?(チラチラ
俺がオニギリを次々と食べている間に、アリサちゃんもオニギリを食べている。
黙っているが笑顔で食べているから気に入ったようだ。
問題は、俺の隣でヨダレを垂らしながら、俺を見詰めてくるテレサちゃん。
テレサたんのご飯 = 俺の血液なのだ。

「主様、主様。
わっち、血液を300ミリリットルほど飲みたいんじゃけど飲んでもええかの?」

「ああ、いいぞ」

テレサちゃんも優しくて良い子だな。
俺の身体に遠慮して、たった300ミリリットルで済ませようなんて……いや、十分なのか。
大天使の血は栄養価抜群のようだし。
よぉーし、俺の首元に噛み付いたら、テレサちゃんの色んな所を撫で撫でしちゃうぞー。
いやー、若い娘の体はいいなぁー。オジサン照れちゃうなー。
休憩が終わったら午後からの仕事も頑張るぞー。
刺身の上にたんぽぽー!














     約10km 
水水水水水水水水水水水水水水水水 ♂俺 ゴール地点 湖

水                       湖

水                        湖
水約10km         
水       岩山    
水        
水                      湖


水      約10km   
水水水水水水水水水水水水水水水水水水  スタート地点 湖 


……こういう心温まる日々をかれこれ2日間繰り返した。
深さ3mの溝を掘り続けて、とうとう岩山の周りを一周して湖の近くへと到達している。
そして、気づいたんだ。
岩山周辺の大地に、ダンジョンが3個も木々に隠れていて、その入口からモンスターが次々と外に出ているって。
ダンジョンそのものを処理しないと、堀の内側の大地がモンスターだらけになって岩山の集落終了するだろうって気づいた。
ちくしょう!迷宮の糞たれぇー!
ゲーム時代の頃は、財宝と資源の宝庫だが、この世界じゃ邪魔すぎる!



あとがき    


 (´・ω・`)迷宮を活用できる国家体制を作らんと、ただの負債でそうろう




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7 件のコメント :

  1. (´・ω・`)今よく考えたら

    (´・ω・`)迷宮都市スタートで始めた方がいいんじゃねと思った。

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    1. ダンジョンの中のモンスターを皆殺しにすれば、
      そのまま居住区画として利用できるね。
      乾燥地帯なら、そのまま住んで問題ないけど、
      日本のように湿度が高い地方ではダメだろう。
      主人は今いるところは、どんな気候なの?

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    2. (´・ω・`)砂漠や高原地帯があるメキシコ(6~9月が雨季で、10~5月が乾季)と似たようなものと考えているけど、深くは設定してない。
      そして、ダンジョンからはどんどんモンスターが製造されて湧いてくるという鬼畜設定どん

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    3. 尽きる事のないモンスター・・・無限の都市鉱山・・・くくくく・・・金が・・・資源が・・・尽きない・・・ッ!

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    4. (´・ω・`)上手く活用できれば、そうなるという事なのだ。

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    5. >ダンジョンからはどんどんモンスターが製造されて湧いてくるという鬼畜設定どん

      そのモンスターの肉は、食べられるのか?
      食べられるという設定なら、ダンジョンの周りを石壁で囲んで、
      モンスター牧場にすれば、タンパク源になるじゃないか!

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    6. (´・ω・`)何回か描写したけど、ゲームのように死んだモンスターは消失して、代わりに価値のない貨幣やアイテムを落とす仕様ですお

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(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)たまに投稿したコメントがエラーになるけど、プラウザバックすれば、投稿した文章が復活します

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

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