【ラッキーの不思議な旅】 21国目 スポーツの国 ④ マラソンと障害物競争 

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公開日: 2014年10月13日月曜日 ラッキーの不思議な旅 自作小説


前にゆっくり戻るよ ゆっくり次に進むよ
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21国目 スポーツの国 ④ マラソンと障害物競争 
こういう国際的なスポーツの祭典中は、聖火と呼ばれる大切な炎が、主競技場でともされ続けるのが常識となっています。
聖火はオリンポス山で太陽を利用して採火された貴重な炎を現地まで輸送したものであり、閉会式の最後に消灯されるのですが・・・インチョンアジア大会の会場の聖火は鎮火していました。
天候不順とか事故とかそういうのではありません。
チョウセン国側の不手際です。
大会期間に聖火が消える事例は非常に異例だから、皆が大慌てて、新しい火を灯していました。


そんな光景を見ながらラッキーは、そろそろ旅に出たくなっています。
可能な限り、多数の競技に出場したのですが、ジャパンヤー国の選手の点数は低く抑えられ、タイムすら放送されません。
男子クリケットにも出場しましたが、試合を延長せずに勝敗をコイントスで決定する有様です。
卓球女子団体なんか、台が斜めでネットの高さがおかしく、チョウセン国側からの嫌がらせが盛りだくさんでした。
テニスなんか、他の大会(チャイナオープン、楽天ジャパンオープン)と日程が重なるようにスケジュールされていたので、ジャパンヤー国と中国ヤー国の選手は参加できませんでした。
これらの不正行為は、他の試合でも多数見られ、イラン、モンゴル、マレーシア、タイヤー国を始めとした国々を激怒させて、各所で裁判沙汰になっています。
特にタイヤー国のタイ国王にウンコを食べさせる画像をチョウセン国の人達が作り、インターネットと呼ばれる情報流通網に画像をばら撒いたから、タイヤー国の民衆が激怒しています。
タイ国王はタイヤー国民からとっても慕われており、人民の最高点に立つ人物とされ、日本でいう天皇陛下みたいなお方なので、タイヤー国民の怒りはとても大きいのです。
ラッキーは醜い騒動だらけでスポーツが嫌になったから、頭の上にいる妖精さんにこう語りかけました。

「旅に出てもいいかな?
スポーツのプロの世界ってこんなに汚くて辛いんだね。
私はアマチュアのままでいいよ。」

「ラッキー、あと少しで大会終わるから、それまで頑張ろうよ・・・」

悲しそうな顔をしている妖精さんに辛抱するように言われたから、ラッキーはそのまま次の女子マラソンに出場しました。舞台は道路です。
マラソンとは長期間、長い距離を走り抜ける苛酷なスポーツ。
持久力と耐久力がものをいいます。
しかもマラソンを始めとした陸上競技は見てて面白いと思う人が少ないから商業的価値が低く、世界の頂点を取っても、大して報酬が出ないので、何処かに勤めて働かないと暮らしていけません。
そのため、陸上競技の選手はお金欲しさじゃなくて、好きだからやっている。そういう人達です。
将来性皆無の陸上競技で、そこまで努力できる人は【陸上競技が好きだから】という人種じゃないと務まらないんです。
ちなみにラッキーは走ったり、歩くのは、旅で慣れているので、マラソンは得意分野でした。
スカートではなく、スパッツを履いているおかげで、恥ずかしい思いをせずに競技場を走っています。
周りが大人達の中で、金髪の小さな女の子がいる光景はとても微笑ましく、ラッキーのおかげでマラソンのTV視聴率がアップしていました。
道路にいるチョウセン国人からも熱烈な声援が、ラッキーに向むけられています。

「ち!スカート履けよ!パンツ見せろよ!パンツ!
お前のパンツ見るために来たんだぞ!」

「おい!そのチビ!幾ら金を出したらやらしてくれるんだ!?」

「ジャパンヤー国人は死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね! 」

観客からの熱い声援が、ラッキーに次々と降り注いでいました。
ラッキーは泣きたい気持ちです。
プロスポーツのアジア頂点を決める戦いが、こんな凄惨なものだなんて、思ってもみなかったから、走りながら泣いてました。

(私、なんでこんな辛い思いして、走ってるんだっけ・・・?
もう、諦めてもいいかな・・・?)

こんな事を思いながら走っていますが、ラッキーはどんどん周りにいるマラソン選手を追いぬいて首位争いに参加しそうな速度で走っています。
さすが旅慣れたロリババァです。エルフの身体能力は伊達ではありません。
このままだと一位を追い抜くのも時間の問題。
でも、油断すると観客達からレーザーが、ラッキーの目玉に向けて飛んできました。
ラッキーは風のバリアー + 魔法の二重防壁を展開してレーザーを完全に防ぎます。
怒ったラッキーは冷たい口調で、頭にいる妖精さんに語りかけました。

「ねぇ、妖精さん。
観客全員殺していいかな?かな?
攻撃してきたから殺していいよね?」

「ラッキー!
それは駄目ぇー!
マラソン棄権していいから、殺すのは駄目ぇー!」

「うん、そうだね。
棄権しようか。」

妖精さんの説得の末、ラッキーはマラソンを棄権しようとすると、スポンサーを喜ばせるためにペース配分なんかせずに先頭を全力で走って疲弊しているチョウセン国のオ・ビワン選手が体当たりを仕掛けてきました。
顔にあるエラが特徴的な人なのです。

「ふはははははは!怪我させてやる!」

どうやらラッキーを転倒させて怪我させるのが目的のようです。
うっかり風のバリアーを解除するのをラッキーが忘れたので、そのままオ・ビワン選手は風の超高速回転に巻き込まれてバラバラ死体になり、周り中に肉と血液が降り注ぎました。
観客達もマラソン選手達も、肉と血を浴びて真っ赤です。

「きゃぁー!人が死んだぁー!」
「なにこれー!?」
「犯人はラッキーだ!間違いない!」

観客からたくさんの悲鳴が上がっています。
そして、何故か、マソランに使っている道路が、波打つようなポンコツ道路で不思議です。
ラッキーは走るのをやめて棄権しました。







スポーツに幻滅したラッキーは陸上競技場の女子3000メートル障害物競争に出たら、スポーツ辞める事を決断しました。
ラッキー達を始めとした選手達は身軽そうな短いスポーツ用の服を着ています。
場所は仁川アジア主競技場(陸上)です。
ゴム製の地面は柔らかく、走るのに丁度良さそうでした。
ラッキーはスタート位置について、走るための体勢を取り、スタートを待ちます。
審判がピストルを頭上に構えて、引き金を引くと

ターン!

ピストルの銃声と白い煙とともに、女子3000メートル障害物競争が始まりました。
ラッキーは凄い速度で競技用のコースを走り抜け、コース上にある障害物を飛び越して他の選手達を引き離します。
でも、心に余裕はありません。
きっとチョウセン国の人達が、絶対嫌がらせをしてくると、確信していました。
警戒しながら障害物を次々と飛び越えて、3000メートルを走り抜けて・・・・独走したままゴール!
不思議な事に、妨害行為もなく、優勝して金メダルです。

「あれ・・・・?
妨害してこない・・・・?
やったー!
金メダルだぁー!」

ラッキーは、ゴール近くにいた黒人さんに嬉しさの余り、抱きつきました。
黒人さんは困惑していますが、小さい娘に抱きつかれて微笑ましい笑顔を浮かべています。
今まで散々、酷い不正行為をやられただけに、ラッキーは感動して泣いていました。
妖精さんは、そんなラッキーを微笑ましそうな眼で見ています。
熱血コーチは病院から、テレビ中継を通して、ラッキーの勝利を見て泣いて喜んでいました。
友情(愛)!努力!勝利!
それがようやく叶った瞬間です。
スポーツはやはりいいですね。









しばらくすると陸上競技関連のほとんどの競技が終わり、とうとう表彰式です。
陸上競技は、オリンピック種目でAランク判定されている凄いスポーツなので、ここでメダルを取る事は凄い事なのです。
次々と各種種目で1位の金・2位の銀・3位の銅メダルを取った選手達が表彰され、メダルを渡されて行きます。
共に戦った選手達から拍手が送られて爽やかです。ラッキーも清々しい気持ちになりました。
それが何十回と繰り返され、ようやくラッキーの出番です。
金メダルを二つも獲得したという事もあって、皆が注目しています。
表彰式の場所は、三つの段が作られ、金メダル獲得選手(ラッキー)が一番高い段に立ち、次に高い段に銀メダル、一番低い段に銅メダルの選手が立って、視聴者や観客から誰がどんな成績を取ったのかわかりやすく配慮されています。
ラッキーは一番高い段の上で、満面の笑みを周りに向けていました。
各国の選手達も、ラッキーに向けて微笑ましい笑みを向けて拍手しています。
ラッキーは、人生最高の気分です。
こんな栄誉ある舞台に短期間で二度も出れるなんて、そう滅多にできる事じゃありません。

(やったよ。
コーチ!私頑張って金メダルをまた獲得したよ!
喜んでくれるかな?
やっぱりスポーツを諦めずにやった方がいいかも。
金メダル取れて嬉し)

【ラッキー選手に不正行為があった事が判明しました!
金メダル取り消しです!】

「え?」

突然、表彰式の場で、金メダルを取り消すチョウセン国側の放送があったのです。
完全に嫌がらせでした。
普通、表彰式の場で金メダル取り消しなんて事はありえない事態です。
放送は続き、内容は以下の通りでした。

【ラッキー選手はコースから外れて走っていました!
第2コーナーを回る際にコースをはみ出したのです!
失格!失格!
金メダルは認めません!
チョウセン国の宗主国様の選手が、繰り上げで金メダルという事になります!
おめでとうございます!
宗主国様!
これも全て私達の努力のおかげです!
褒めてください!】

「そんな・・・・そんな・・・馬鹿な・・・私、コースから外れないように注意して走ったのに!
私、スポーツやめる!」

ラッキーは涙をぽろぽろ流します。
そして、場から逃げるように、去っていきました。
各国の選手達が、不憫な顔をラッキーの後ろ姿に向けています。
2位の中国ヤー国の選手が繰り上げで金メダル獲得して大喜びです。
その傍で、大会スタッフが賭けトランプやって遊んでいました。
他の会場にも、何故か大会スタッフ用の賭博場があちこちにあります。

「1000ウォン賭けた!」

「こっちは10万ウォン!」

「ラッキーっていうチビのパンチラ写真!
白いレースと綺麗な肌がいい!」

「もう価値ねぇよ。そのパンチラ写真。
全世界に放映しただろ。」

女子3000メートル障害物競争の最大の障害物は、コースに設置された障害物ではなく、チョウセン国人が最大の障害物だった事を、ラッキーは短時間の間、すっかり忘れていました。
でも、理解していても、一選手でしかないラッキーにはどうしようもありません。
こうして、インチョーンアジア大会2014は、終局を迎えつつあります。


前にゆっくり戻るよ! ゆっくり次に進むよ
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4 件のコメント :

  1. もう審判と観客を皆殺しにしようぜ(提案)

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  2. 架空の国そのものが地球の障害物

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  3. なんつーか架空の国に住んでる観客が修羅の民じゃね?

    返信削除
  4. さすが、ヘル・カム。

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