【ラッキーの不思議な旅】 14国目 怠けものの国 後篇
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公開日: 2014年9月25日木曜日 ラッキーの不思議な旅 自作小説
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20年後、ラッキーと妖精さんは再び空を飛んで、例の島国を訪れてみました。
他の国で、「泥棒も入らない貧乏長屋」国家と噂されていたのを聞いたからです。
今、ラッキーの遥か下に、島全体がはっきり見えています。
そこには元気に働いている国民の姿があったのです。
一世紀前の原始的な生活に戻り、朝から晩までココヤシの実の収穫や、釣りをして食べ物を自分達で確保していました。
おかげで、20年前に訪れた時は、国民の3分の1が太っている肥満国家だったのに、今じゃ健康的なのです。
あと、なぜか全く別人種の人間達が大量にいて、島の各地で暴動を起こしていましたが平和でした。
「凄い・・・・滅亡せずに残ってる・・・」
「うん、僕もそう思うよ。文明が崩壊した後の人類の生活がこんな感じだよね。」
頭の上で妖精さんが残酷なツッコミをしている事を無視してラッキーは驚愕しました。
まさか、滅亡せずに残っているとは思わなかったからです。
そのままゆっくりと人気のない浜場へと光学迷彩を展開して誰にも見えないように降下し、着地してから光学迷彩を解除すると、浜辺には、切り取ったフェンスの上にお魚を置いて、炭火焼で焼いて食べている若々しい中年男性が居ました。
この顔には見覚えがあります。
ラッキーの知り合いのナウル青年が、そのまま年齢を取った外見です。
顎に長い髭が生えている以外は、外見的特徴はあんまり変化していません。
中年はラッキーが現れた事に驚いて、焼いている最中の魚を地面に落としいました。
でも、すぐにラッキーが誰なのかを中年は思いだしたので踊りながら
「あっひゃっー!
ラッキーちゃんだぁー!
相変わらず小さくて若くて別嬪さんだぁー!
俺の孫娘よりも小せぇー!
オラのお嫁さんになってく」
抱きつこうとしたので、ラッキーは右ストレートパンチをお腹にプレゼントしました。
「えいっ!
「パププペオ!」
中年はその場で気絶して倒れました。
ラッキーは話を聞きたいので、中年の顔をペチンペチン、手でビンタして起こす努力をします。
中年は顔を何度も何度も叩かれたから、その痛みですぐ起きました。
「あっひゃっー!
顔が凄く痛てぇー!
相変わらず、ラッキーちゃんは身持ちが固い別嬪だぁー!」
「ねぇねぇ、私が来なかった20年の間に、この国で何が起きたの?
教えてくれたら、一カ月くらい遊んであげてもいいよ?」
「あっひゃー!
これは教えてあげるしかねぇー!」
中年は大喜びです。
なにせ初恋の娘との思い出が、たった2日しかない悲しい人という事もあり、喜んで次々とラッキーの質問に応えてくれます。
ラッキーは知的好奇心を満たすために、徹底的に質問責めをしました。
「この国、リン鉱石が尽きたはずなのに、どうして滅亡してないの?
よくニートだらけだった国民を働かせる事に成功したね?」
「オラ達は、最初は働かずに暮らすために頑張っていたけど、全部失敗したから働く事にしたんだ!
今じゃ、朝から昼まで果物や魚を取るために時間を使って、喰って遊ぶだけで精いっぱいの暮らしだけど、健康的で最高だぁー!
あっひゃっー!」
「ふーん、ちなみに働かずに暮らさないために、どんな努力をして失敗したの?
私はそっちに興味があるかな?」
「ラッキーちゃんが可愛いから、どんな事でもオラは答えちゃうぞ!
オラ達は、最初に、登録料2万5000米ドルを払えば銀行を開設できるように法律を整備したんだ!
そうしたら、海外のロシアノマフィアって人達とかが、住所と郵便箱以外なんの実態もないダミー銀行を400以上も登録して作ってくれたんだ!
そうしたら、登録料と毎年の更新料で銀行は大儲け!
オラは商才があるなぁって、自惚れて浮気したんだ!
今じゃお嫁さんに離婚されて、華の独身!お嫁さん募集中だぁー!」
中年がラッキーの方をチラチラ見てきてお嫁さんになってくださいな雰囲気でしたが、ラッキーは無視しました。
そんな事よりも、先ほどの中年が言った発言は大問題です。
ラッキーは呆れた態度で
「え、と、ひょっとして君の作った銀行は、マネーロンダリングに利用されたの?」
「オラはそういう難しい専門用語は分かんねぇ!」
「マネーロンダリングってのはね。
犯罪とかで得たお金の出所を、銀行とかカジノを通す事で隠蔽・洗浄する事で、そのお金を市場で使っても金の出所が分からないようにする犯罪行為だよ。
この場合は、ロシアノマフィアーって人達が、そのダミー銀行を利用して、マネーロンダリングをしたんだね。」
「ラッキーちゃんは頭がいいなぁ!
オラはよく理解できなかったけど、しばらくしたら、アメリガ合衆国っていう超大国が【お前達のせいで金融業界は目茶苦茶だ!制裁する】とか言って激怒して、オラ達の国をブラックリストに指定して大変だった!
突然、すべての免許が取り消されて金融事業は継続不可能になって、オラは泣いた!
もう、金融業はやらねぇ!
金を動かすだけの虚業はやっちゃいけないんだ!
おかげで100万ドルの預金があったのに、窓口から引き出せなくなって、国の経済が完全に壊滅した!」
「うーん、よくこの国無事だね・・・・
能天気すぎて感心しちゃうかも・・・」
アメリガ合衆国といえば、この辺りの周辺地域に大きな影響力を持っている強大な大国です。
定期的に他国に戦争を吹っ掛けては、利権を得るためにボコボコにする世界の警察としても有名でした。
中年の話はまだまだ続きます。
好きなラッキーちゃんの好意を得るために、国の恥部を容赦なく暴露してくれました。
愛って偉大ですね。
「おらは、これ以外にも、この国のパスポートの販売をやっていたんだ!
そしたら、世界中の悪そうな顔の人達がたくさんやってきて、パスポートを買ってくれて大儲け!
オラは儲けた金で、新しいお嫁さんと結婚して、幸せになったんだ!」
「うーん、働かないために、こんな大それた事を次々とやっちゃう君は、大物なのかもしれないね。
それでその結果はどうなったの?
今、地道に働いているって事は、失敗したんでしょ?」
「あっひゃー!
ラッキーちゃんは頭がいいなぁ!
そうそう失敗したんだよ!
今度もアメリガ合衆国が怒って、パスポートの販売行為を、テロ支援行為と批判してきたんだ!
何でも14年前の9月11日にテロリストがハイジャックした飛行機が、巨大な世界貿易センタービルに突撃するテロが発生して何千人も死亡して、そのテロ集団の構成員達がオラの国のパスポートを使ってたとか、そんな事言ってた!
おかげで、オラ達は非合法活動をしないように契約を結ばされた上に、数日後に当時のドウィヨゴ大統領が心臓発作で死亡して大変だった!
もう、アメリガ合衆国は怖くて怖くて嫌になった!
新しい嫁にも愛想尽かされて離婚ざれた!
あっひゃー!」
「大変だったんだね。」
ラッキーはクスクス笑いました。
ここまでくると喜劇の類です。
話が面白すぎて、笑い死にしそうでした。
中年の話はまだまだ続き
オーストラリアヤーという国から、大勢の難民を押しつけられた代わりに、毎年、莫大な援助金を引き出す事に成功。
チュウゴクヤー、タイワンヤー、ニホンヤーという国々の間の外交駆け引きを上手く利用して、援助金を何度も引き出して大儲けしたりと、中年の人生は激動だらけで楽しそうです。
結局、財政破綻して貧困生活ですが、皆が釣りや採集活動をして毎日楽しく働いて健康的に暮らす国になりました。
相変わらず失業率90%でしたが、楽観的な国民性のおかげで平和な生活が維持されていたのです。
ラッキーは、中年の話にとても感心したので一カ月間、中年の家で同棲してあげようと思いましたが、やっぱり無理でした。
中年が発情しすぎて、ラッキーが海で泳ぐために下着姿になる度に
「オラはもう我慢できねぇー!
オラの迸る熱い情熱を受け取ってくれぇー!
オラは二度とラッキーちゃんをはなさねぇー!
結婚を前提に、そこの浜辺で楽しい事を」
「えい!」
「ヒデブッ!
でも、オラは諦めねぇー!
ラッキーちゃんはオラの嫁にするだぁー!」
「え?気絶してない!?えい!」
「ピヨア!
あ、諦めねぇー!
オラはラッキーちゃんが好きだぁー!」
何度も何度も襲われそうになる度に、ラッキーが殴ってナウル中年を気絶させてしまうので、このままだと中年の命が危ないから、一週間で国を出て行きました。
でも、ラッキーはナウル中年に何度も襲われたにもかかわらず、とても良い笑顔です。
この国を通して、人間の逞しさって奴を教えてもらった気がしたからです。
この世界は楽しい事に満ちています。
ラッキーは、60以上の月がある夜空を見上げて、頭の上にいる妖精さんに語りかけました。
「妖精さん、次にあの島に行ったら、石器時代の頃の人類を見れそうで楽しみだね。」
楽観的で平和に暮らしていましたが、文明そのものは、下手したら石器時代の頃に逆戻りしそうでした。
14国目 怠けものの国
おしまい。
テーマ【ナウル共和●】
テーマ【あっひゃー!】
没ネタ
そして、この国の資源枯渇して最貧国に転落する問題は、人類世界全体に言える事だったので、将来的に石油資源が枯渇したら、人類の国々はどうなるのかな?ってラッキーは思いました。
安価で便利なエネルギーがないと、社会を維持するのは大変なのです。
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うん、まぁ石油とかその他の埋蔵エネルギーが枯渇しても先進国は生き残れるよ。
返信削除太陽(風・波・雨は全部太陽由来)のエネルギーと地熱エネルギーを合わせれば、
その国の領土+領海面積で保有できるエネルギー量で今の経済活動や成長をかなりの期間維持出来る。
いずれ限界はくるから、今度はその前に宇宙進出するか、人類社会をダウンサイジング(方法は想像にお任せw)して省エネルギー化するかしないとダメだけど。
ただ、自然エネルギー社会を作るには高度な技術と量産体制とリサイクル体制を整えないといけないのが難易度高い・・・。
ようは、石油と言う通貨が太陽光発電板や風車と、それによって生み出される電気に変わるだけだからね。
あとバイオエネルギーか。
まぁ、これも鉱物資源が尽きれば詰むからリサイクルが大事過ぎる世界になるね・・・・。
(´・ω・`)ちょうど街のあちこちに太陽光発電装置をつけた家が増えたり、大量に太陽光発電板を置いた発電基地とか利用して、現実も自然エネルギーを利用する方向で頑張っているよね。
削除最近も、滋賀県に県内最大の光発電の基地が出来たって聞いただよ。
お兄様(´・ω・`)説明しよう。
太陽の光は、地球上なら何処でも無料で入手できる。
これを使えば、エコな社会を作れるんだ。
バス女(´・ω・`)便利な資源だけど、光発電の装置が高すぎる有様だよ。
利用する方向でがんばってるけど、
削除まだ維持費とかで立てるだけ赤字になったよーな。
ま、それでも、将来発展するための投資と思えば・・・
現状自然エネルギーアピールにしかなってない気がするけど。
自然エネルギーに移行出来るならそれがいいとは思うんだけど移行するとして
削除日本全体で必要なエネルギーをまかなうのにどれくらいの規模の施設がいるのか
それをどこに建てるのか、地元住民の同意が得られるのか
エネルギー政策として同意が得られなくとも推し進める覚悟があるのか
用地買収、建設、維持にどれぐらいの費用がかかるのか財源はどこから持ってくるのか
稼動するまでにどれだけの時間がかかるのか、それまでの間のエネルギーはどうするのか
こういう話ってあんまり聞かないのよね
とりあえず自然エネルギーって言っとけば票になるだろうとか思ってるのかね政治業者の皆さんは
最近じゃ自然エネルギーって単語を懐疑的な目でしか見れなくなっちゃったよ
昔は学研の科学みたいな本読んで夢のエネルギーみたいに思ってたのに
子供のころの綺麗な夢を壊してくれやがって
(´・ω・`)エコな国というタイトルで書きたくなっちゃった・・・
削除自然エネルギーが胡散臭いのは色んな思惑が絡まってるせい
削除今は石油が枯渇するかもしれない将来に向けた基礎研究の段階
だから実用性に関しては考慮する必要が無い。
問題はその予備エネルギーの筆頭が原子力であり、すでに実用化されてること
そこに放射脳が原発の対案として(まだ実用性の低い)自然エネルギーを
無理やり実用化しようとしていることだと思う。
リンの再掘削を開始したとか記事に出てましたね。
返信削除なんでも、表層上の物は全部掘ってしまったが、二次層まで掘ればまだ40年くらい採掘できるそうです。
ただ、二次層まで掘り尽くすと、島の基盤自体がかなりやばくなるそうですが……。
お兄様(´・ω・`)人はそれを専門用語で死亡フラグという言うんだ。
削除まぁ、地球温暖化の時代だから何もしなくても島が水没しても可笑しくないから、最後の足掻きをするのも悪くない・・・フッ
(´・ω・`)儲けたお金でオーストリアで家を買えば、全部解決。
さすが、あのアドミラル・トーゴーに海戦のイロハを叩き込んだと言われるパルメさん。
削除慧眼だ。