【Elona かたつむり観光客の悲劇 】  第7話 エーテルの風は怖いお

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公開日: 2014年8月10日日曜日 Elona 自作小説



Elona かたつむり観光客の悲劇 】 

前にゆっくり戻るよ  次にゆっくり進むよ



「た、大変な目にあったにゃっ・・・!」

黒猫ちゃんが人肉に納得してくれた。
ダンジョンの中でも、簡単に入手できる肉なだけあって、困った偏食を矯正できて嬉しい。
これも黒猫ちゃんの将来を思えばこそである。


・・・・そろそろダルフィを出て、付近にあるダンジョンにでも潜ろうと思ったら、緑色の粒子が空から降ってきた。
とても幻想的で綺麗な光景に、黒猫ちゃんは感動して

「す、すごいにゃっ・・・とてもファンタジーな光景にゃっ・・・
これこそ異世界なのにゃっ・・・・・・」

浴びるだけで身体が変形し、異形の怪物になってしまうエーテルの風を見ていた黒猫ちゃんの隣で、私はシェルターの設置作業をした。
いつエーテルの風が吹いてもいいように、店売りのシェルターをティラノ君に運搬してもらっているから便利だ。
呑気にしている黒猫ちゃんは本当に常識がないから困る。
身体を元に戻すエーテル抗体ポーションは、すごく高いから困る。





第7話 エーテルの風は怖いお



シェルターの設置作業は簡単に終わった。
ただ設置するだけで地下に空洞ができ、安全な場所を確保できる。
この鉄製の板には、そんな不思議な力があるんだ。

「それはどうしたのにゃっ?」
黒猫ちゃんが、呑気そうに聞いてくる。
私はそれに答えずに、ただ付いてくるよう命令して、シェルターの中へと案内した。
あんなところにいたのでは、エーテルの風で大変な事になってしまう。
ティラノ君も入り終えた事を確認した後は、シェルターの頑丈な扉を完全に閉じるだけだ。
外から扉を叩く音がしたような気がしたが、特に問題はない。

「ここは何なのにゃっ?」
黒猫ちゃんが相変わらず、呑気そうにしてる。
私はエーテルの風について説明してあげようと思った。
エーテルの風は、この地に吹き荒れる不思議な災厄で、あれを大量に浴びると、異形の怪物になったりして、お金がかかって大変なんだ。

「そ、そうなのにゃっ・・・この世界は本当に恐ろしいところだにゃっ・・・・・」
普通に生活するだけで、エーテルの粒子があちこちに落ちてるから、日常生活を送るだけでも致命的。
エーテルの風が吹く度に、外にいるカタツムリは死に絶え、避難する前に朽ち果てるから恐ろしい。
ティラノ君がいなかったら、私の人生設計っ!は大変な事になっていたにちがいない。

「さ、さっきから扉を叩く音がするにゃっ。
そんなに大変な災厄なら、入れた方がいいのにゃっ。」

エーテルが大量に付着した人肉は怖い。
「た、食べることが前提なのは可笑しいにゃっ!」
なら、扉を叩いてる人物がパルメさんだったら、私の命が危ない。
「扉に耳をあてれば、誰かわかるかもしれないにゃっ!」
カタツムリだから耳はないっ!(キリッ
「比喩表現にゃっ!手もないのに道具を器用に扱ってる時点で、ご主人様は可笑しいのにゃっ!」
仕方ない。扉に身体を当てて、外の音を聞いてみよう。
どれどれ・・・・・

「だずげでえええええええええええええっ!!!!あげでええええええええええええええええっ!!!!」
人間の女の声だった。
悲鳴を上げながら助けを求めてて怖い。
エーテルが大量に付着した人肉とか、なにそれ怖い。

「食べるなくてもいいはずにゃっ!
さっさと中に入れてあげるにゃっ!」

黒猫ちゃんに言われたから仕方ない。
人間の女性を入れてあげよう。
私はシェルターの金属製の巨大な扉をあける。手もないのに、どうやって開けたかは内緒だ。
外界は相変わらず、緑の粒子が舞うエーテルの風に晒されていて、完全に異形と化した元人間が目の前にいる。
足がたくさん、手もたくさん、頭もたくさん、目もたくさんあるクリーチャーだった。
見なかった事にして、扉を閉じた。

「駄目なのにゃっー!助けてあげないと駄目にゃっー!」
エーテル怖い。エーテル抗体ポーション高い。
もうすぐ死ぬ死体に興味ない。
ここでゆっくりと読書して時間を過ごそう。
最近の私の愛読書は、【イェルスの新型兵器シリーズ ゼイレン自走雷撃砲について】だ。
なんでも、魔力制御がないから、味方の軍勢ごと巻き込んで、雷撃で焼き払うらしい。
カタツムリの6倍の速度で動いて、出会ったらすぐに殺されるそうだ。
恐ろしい。

「可笑しいのにゃっー!ご主人様が冷静すぎて可笑しいのにゃっー!」









エーテルの風が治まるまで、三日の時が必要だった。
シェルターから出ると、三日ぶりの太陽の光に照らされて眩しい。
シェルターの外には、異形になったまま死んでいる人間が転がっているが、特に気にしない。
ダルフィの街で、多数の死傷者がでたようだが、今日も平常運転だ。
奴隷市場には、奴隷が納入されて売買され、ブラックマーケットには盗品が大量にある。
私は目の前で歩いていた子供の頭を齧りながら、平和だなーと思った。

「もう、ツッコミはいれないにゃっ・・・・疲れたにゃっ・・・」
黒猫ちゃんが疲れてだるそうにしてる。
きっと、シェルターでの生活が退屈で気疲れしたのだろう。


・・・・・おお、よく考えたら黒猫ちゃんが来てから一度も死んでない。
最近、死にまくって不運だと思ったら、今は幸運なのかもしれない。
私の未来は明るいな。
そう思っていると、成人女性が走ってこちらにやってくる。片手に白い粉を持っていた。

「私の子供を殺したカタツムリは死ねっ!」
ああ、これは塩の粉末・・・・ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!
いだいいいいいいっ!!!!!!!とけるううううううううううううううっ!!!!
全身があづいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!
あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”



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2 件のコメント :

  1. どれだけエーテルの風に吹かれて変異しても、塩には耐性がつかないのは何故なのか。

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    1. (´・ω・`)それが最弱(かたつむり)の定め

      削除

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)たまに投稿したコメントがエラーになるけど、プラウザバックすれば、投稿した文章が復活します

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)コメントの入力欄は小さいですが、右端の//をクリックして下に引っ張れば、かなり大きくなります。




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