009「人類絶滅政策-終」 【なぜ、成功するのか教えてやろう。俺が勘違い系主人公だからだっ!】

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公開日: 2016年4月17日日曜日 なぜ、成功するのか教えてやろう。俺が勘違い系主人公だからだっ! 自作小説




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なぜ、成功するのか教えてやろう。俺が勘違い系主人公だからだっ】 ☚纏めたぺーじ

……1時間ほど、時間を遡らなければならない。
とある小国で、世界各国の偉い人が、集まる会議が開催されていた。
どの国も、各地に大きな影響力を持つ主要国。
ここでの決定が、人類の未来を担う、そんな場所でワルキュラが、雄弁に演説していた。

「……このように、我が国では失業者や自殺者を骸骨にする事で、社会保障費の大幅削減に成功している。
自国基準のアンケート調査では、幸福率は99..9999%を突破し、人民達は快適な地下都市ライフをエンジョイしているのだ。
どうだろうか?貴殿らの国も……この制度を採用してみないか?」

世界中の偉い人たちは、何も言えなかつた。顔を引き攣らせて黙り込む。。
権力者の憧れであるエルフに転生する技術。それをワルキュラが独占しているから、迂闊な反論はできない。
だが、この中で唯一、永遠の命への憧れを捨て去った事務次官ラウールが、恐る恐る、ワルキュラに語りかけた。

「ワ、ワルキュラ殿……そ、その制度はさすがに世論の反発を招くと思われるのだがっ……?」

「ん?なぜだ?
この制度のどこに問題があるというのだ?」

眼窩を真っ赤に光らせる巨大な骸骨。つい、うっかり莫大な魔力を周囲に漏れてしまった。
ワルキュラ本人には、他者を威圧する気は全くないのだが、ラウール達から見れば、この骸骨の行動は――世界全てを武力と恐怖で支配しようとする『悪辣なる帝王の御業』にしか見えない。

(この化物めっ……!国際会議の場ですらっ……平然と脅迫してくるっ……!
今度こそ、完全に世界征服する気だっ……!このまま議論が進行したら人類が絶滅するっ……!)

目の前の骸骨の非常識さに、ラウールは激怒した。
だが、この場でその怒りを発露すれば、ワルキュラの利益にしかならない。
可能な限り、ワルキュラのやる気を無くさせるために、小者っぽりをアピールする。

「そ、それは……そのう……。
この制度の問題点はっ……」

「問題点は?」ワルキュラの骨顔がラウールに近づく。

「が、骸骨の顔が、こ、怖すぎるから?」

(まだ、アンデッドへの社会的な偏見が、世界各国に根強く残っているという事か……)

ワルキュラは、差別問題が未だに根深く残っている現実を悲しんだ。
だが、彼は骨の帝王。差別問題を乗り越えた先に未来が待っていると確信し、人間たちへの説得を続ける。。

「確かに……俺達、動く骸骨は、外見が骨だから怖いかもしれない。
だが、老いも飢えも病気もない。そんな素敵な身体なのだ。
先進国は年金問題や老人の医療費などで、莫大な出費を強いられ、財政が悲鳴を上げて困っているだろう?
それでも導入しないと言うのか?
このままでは、貴殿らの国は財政破綻を起こし、お金がただの紙切れになってしまうぞ?」

「け、決して、貴殿の案を否定している訳ではないっ……!
が、骸骨ではなくて、ぜ、全員をエルフに転生させれば、世論が納得するような……?」

「エルフの転生料金は、十億アヘンだ。
アヘン紙幣の相場が変動を起こすから、値引き出来ない。
俺は何度もそう言っているはずだ」

「そ、そうですかっ……それは残念です、ワルキュラ殿。
本当に申し訳ないっ……!」

事務次官ラウールは、荒ぶる感情を抑えながら確信した。
ワルキュラの言動。頑なに骸骨を増やそうとする意図。
導き出された答えは――

(やはり、この邪神は人類を絶滅させるつもりだっ……!
表向きは失業政策を語っているが、骸骨の数だけを増やそうとする時点で、その邪悪な企みは確定的に明らかっ……!
世界中で合法的に骸骨を増やして、そのまま国を乗っ取るつもりだっ……!
私は決して悪に屈しない!
この両肩に人類の存亡がかかっているんだ!
私の敗北は、すなわち人類の絶滅を意味する!)

巨悪に立ち向かう覚悟を決めたラウール。
だが、目の前にいる巨大な骸骨は、彼の予想を超える行動を取る。

「……事務次官殿。
君は飢えた貧困層を見た事があるか?
体中にハエが集って、生まれた意味すら分からずに、無意味に死んでいく子供達を知っているか?」

「い、一体、何の話をっ――」

ラウールの次の言葉を紡ぐ前に、ワルキュラが厳かに――場にいる全員に向けて語りかけた。

「俺の政策は、既に成功している。
だから、好きなだけ、この政策をパクれば良い。
動く骸骨たちが暮らせる地下都市は、既に用意してある。
そこでは、誰もが平等に労働者だ。
体に障害を負った人間も、死んで骸骨になれば治る」

「や、やめろっ!
これ以上の発言は認めな――」

「国を指導する責任ある諸君」

ずっとワルキュラのターン。
ラウールの言葉の妨害を気にせずに、場の主導権を握る事にした。。
各国の首脳たちに説得するために、威圧感たっぷりに語り続ける。

「君たちの手で――民草を救うのだ。
そうすれば、(子供達が)最低最悪な死を迎えずに済む」

全世界への宣戦布告――この場にいる首脳達はそう理解した。
最悪すぎる事態に、事務次官は腰を抜かし、床に倒れる。

「ば、馬鹿なっ……!
世界全てを敵に回すつもりかっ……!
ワルキュラ殿はっ!その発言の意味を理解しておられるのかっ!」

「ああ、理解しているとも。
この政策を皆でやれば、大勢の人間が救われる。
なぜ、迷う必要がある?
世界中の人間が骸骨を嫌うのならば……俺は喜んで世界の(差別問題と戦う)敵となろう」 

ワルキュラは少し緊張していたせいで、一部の言葉が話から欠けていた。
ますます、周りの人間達は誤解を深め、目の前にいる邪悪なる化物に畏怖し、事務次官は正義の炎を心に灯す。

「み、皆さんっ!卑劣な脅しに屈してはなりませぬっ!
ここで屈服すれば、人類は滅びますぞ!
この化物の言う事に従ってはいけませぬっ!」

(何故、ここまで誹謗中傷するんだっ……?
俺は、人類国家の抱える問題を解決してやろうと思っただけなのにっ……!
きっと、この男は骸骨を差別する人間に違いない。
こうなったら、強引に一気に進めてやる。お前の面子は気にしない!
ずっと俺のターン!)

正義感たっぷりのワルキュラは、ドスの効いた声で話を続けた。

「諸君……多数決で決めるのはどうだろうか?
この政策に賛成したい国は起立を。不賛成の国は座ってくれ。
俺は純粋に、善意で、世界中の不幸な人々を救いたい。そう思っているだけなのだ。
その証拠に、俺は発展途上国の開発支援もしてきたし、そういう様々な活動を通して、世界に貢献してきただろう?
俺が邪悪だというならば、この世に善良な人間は居ないはずだ」

(世界を二分する世界大戦を起こす気かっ……!この化物はっ……!
ま、まさかっ……!)

事務次官は、とある事に気がついた。
このまま話が進めば、化物に従う国。従わない国に別れるはず。
すなわち、人間陣営の分裂である。

(人間同士を殺し合わせるためにっ……!
この国際会議を開いたというのかっ……!
なんたる邪悪っ……!なんたる卑劣なる行いっ……!
私達はっ!最初からっ!罠にかかった魚という事かっ!?
この国で会議を開催した時点で、最初から詰んでいたっ……!)

こうなったら、事務次官にできる事はない。所詮、彼は国際社会のバランサーに過ぎない。
望む結果はただ一つ。
この場にいる全員が椅子に座り、ワルキュラと対決してくれる理想の展開を祈るしかなかった。

(神よっ……!
私は人類の良心を信じますっ……!)


結果は――





「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」「賛成!」


全員が恐怖に身体を動かされて起立し、邪悪に屈する選択肢を選んでしまった。
この日、人間という種族は滅ぶ事が決まった。そう、首脳達は確信し、この敗北を心に刻みつけた。

「君たちは良い選択肢を選んだ。
俺は、この日を誇りに思おう。
老化現象の完全撲滅を宣言する日は近い。
その頃には――君達は(金持ちだし)転生してエルフになっているだろう」

(終わった……全て終わってしまった……。
わ、私は人類が亡ぶ有様を見たくないっ……!
そんなものを見るくらいなら……死ぬ事を選ぶっ!)

……事務次官は、その日の夜、遺書を書き、抗議の焼身自殺を行った。
世界各国の首脳達は『ワルキュラに抗議したから、暗殺されたんだっ……!』と壮大に勘違いし、世界は恐怖と勘違いの闇に包み込まれる事となる。

ワルキュラは最後の最後まで、自分が勘違いされている事に気がつかず、失業者対策の普及に尽力した。


ウェルカム ツー アンダーグラウンド




人類絶滅政策

おしまい

今回のコメントまとめ+ 小ネタの感想まとめ

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Dakara_isekai/c9.html


【内政チート】「囚人を低賃金で労働させてチートする!」21世紀のアメリカhttp://suliruku.blogspot.jp/2016/03/21_18.html



ワルキュラ(´・ω・`)骸骨は地球にやさしくてエコ!
皆で骨になれば、偏見も少なくなる!
ルビー(´・ω・`)頑張りましたね!ワルキュラ様!

3 件のコメント :

  1. 返信
    1. そして、骨折り損の草臥れ儲けってオチを手に入れるんですね?

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    2. (´・ω・`)う、うまい事いわれた……

      削除

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)たまに投稿したコメントがエラーになるけど、プラウザバックすれば、投稿した文章が復活します

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)コメントの入力欄は小さいですが、右端の//をクリックして下に引っ張れば、かなり大きくなります。




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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。