●28話のキツネ娘「作戦会議パートじゃな？」挿絵【もふもふ・きつねっこぉ】　

10 件のコメント :

公開日： 2017年4月22日土曜日 【もふもふ・きつねっこぉ】 自作小説 自作挿絵

挿絵(´；ω；｀)キーニャンのニート君主宣言

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)メインヒロインがメインヒドインすぎるよ？！

(´・ω・｀）ニート狐って最高にかわいいじゃろ？

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)その感覚がダメなんですよ！先生ぇー！

(´・ω・｀）そんなー！？

前にゆっくり戻るよ！

ゆっくり次に進むよ！

【もふもふ・きつねっこぉ】　☚纏めたページ

騎兵級が10匹、30匹、50匹と折り重なっていく……下にいる個体は潰れてしまっているだろうが、イド生物群に死の恐怖はない。魚みたいに痛みにも鈍感だ。このままではイドの死体の山を登って、ホテルの二階の窓辺りを突き破り、騎兵級や歩兵級が入ってきそうだ。
そう判断したニャンタンは……キーニャン達に向けて叫ぶ。

「くっ……！急いで上の階へ逃げてください！僕が時間を稼ぎますっ！」

上の階へ行けば行くほど、脱出の時の難易度が上がってしまうがそれは仕方ない。ホテルに居た人間達も慌てて、階段のある方角へと駆け抜ける。有難い事に階段が複数あるタイプの建物ではないようだ。
タンタンタンタンッ……全員が登り終えた事を確認した後、ニャンタンも階段を登る。すると――、ガシャーンッ！後ろから窓ガラスが割れる音にニャンタンは振り返る。視線の先には窓を突き破って侵入する騎兵級がいた。
だが、すぐに真っ赤な光がニャンタンの後ろから照射され、騎兵級の目を破壊する。光の発信源は……階段の上で待っていたリーファだった。
その手に棒状の物体を持っている。先端が赤く光っていた。ニャンタンは気になったから聞いてみる事にした。

「リーファさん……それは何ですか……？」

「レーザー●インタっていう道具アル。嫌がらせに使えて便利ヨ」

「随分と……便利そうな武器ですね……」

「でも、良い子は絶対真似しちゃ駄目ネ。これ風船すら一撃で破壊できる高出力仕様ヨ。それよりも階段を封鎖して欲しいネ。これそんなにバッテリーが持たないヨ」

会話をしている場合ではなかった。騎兵級が次々と入ってくる度に、リーファのレーザーポインタが照射され、目を破壊してくれているが、目という物体は小さく、狙って照射するのは難しいに違いない。
ニャンタンは階段を上りきった後に、岩カードを取り出し、カード化を解除した。

「キーニャン！」

実体化した岩が、階段を防いだ。小さな隙間はあるが、歩兵級すら入れないサイズだから問題はないだろう。

「頑張ったあるナ」

なぜか、リーファの発言を聞いて、岩をぶち壊せるイドがやってくるフラグ的な何かではないかと、ニャンタンはすごく心配になった。

★★★


……このような事を三回ほど繰り返して階段を防ぎ、ニャンタン達はホテルの五階へと籠城する事となった。
騎兵級がホテルの五階へ登るには、それ相応の騎兵級を山のようなサイズになるまで土台にしないといけず、そんな大物量を浪費するよりも、ホテルの柱をぶっ壊した方が早いと判断し、赤いハサミでガンガンッと柱を殴りつける音がホテルの外部から響いている……。

「さて……ゆっくり休憩できる状況になりましたし、今後の事を話し合いましょう」

五階の一室を問答無用で無断で借り切り、ニャンタン達は話し合いを始めた。タヌウが不安そうだ。その態度が丸いタヌキ耳に現れている。タヌキ耳が元気を失って垂れていた……。

「ニャンタン……、享楽国の首都は、イド生物群に占領されたと思った方がいいのだろうか……？奴らが異世界の日本国にいるという事は、ワープゲートの先は奴らがウジャウジャいる事になるぞ……経済改革を始める前に、民草が全滅しては何の意味もない……」

「いえ、たぶん、享楽国はほぼ無傷だと思いますよ？」

「……どうしてそう思うんだ？根拠があるのか？」

「享楽国は攻め込まれた時の防衛プランに……要らないワープゲートを大量に投石器で外に放り出して、敵軍を攪乱するっていう計画があるんです……ダンジョン世界でカード化したアイテムは、異教徒だと元には戻ませんし」

「ふむ……効果が薄そうな防衛プランだな……敵軍が信者を一人でも拉致っていたら、全てご破産だと思うのだが……？」

「いえ、実はそうでもないんです。僕たちの首都の形を思い出してください。
一般人から見ると、首都の外へ通じる道が一つもないでしょう？カード化を解除できる問題は、一時的に信者を破門すれば解決できますし……」

「確かに……首都の周りを覆う川はあれど橋は一つもない。内側から城壁の上に登る階段はあっても、外へ行くための道は一つもなかったな……。
交易をする時は、泥棒のように城壁に縄をかけ、船を用意しないと川にすらいけない……しかも、川には地下水路から逃げ出したワニが繁殖していて危険だ……」

「膨大な無人地帯が広がっていて、外国に流れる情報が制限されているおかげなのか、どうやら他国の人たちは……享楽国へ行くには、特定の隠されたワープゲートを通らないといけないと思い込んでいるようなんです。
そんな訳ですから、要らないワープゲートを外に放り投げると……当然、敵はそこに殺到して、無意味な探索をやり、時間を浪費する訳です」

「……まさか……トラエモンが、この世界に繋がるワープゲートを外に放り出したという事か……？」

「……融通が効かない男ですから……兵士たちに命令して、地下倉庫にあったワープゲートを全部、首都の外へと放り捨ててしまったんでしょう。トラエモンと一緒に行動していた少数の兵士以外は、僕たちが特殊なワープゲートを使って、天然の異世界にいる事を知らないはずですし。知識神パルメドンも発狂中ですしね……」

ニャンタンは言いながら、頭が痛くなった。大きな組織になればなるほど現場の把握がし辛くなる。
今頃、トラエモンも頭を抱えて、キーニャン達をどう救出しようか、城壁の上で悩んでいそうだ。こういう時、裏切る可能性がほとんどない軍指揮官という存在は有難いが、百万単位の大軍勢の中にあるワープゲートを回収なんて、享楽国の軍事力では不可能である。
タヌウもそれを理解したのか、顔が青ざめていた。

「そうなると……今、この世界と繋がるワープゲートは首都の外側にある訳だ……。
恐ろしいほどに絶望的だな……仮にここを脱出してワープゲートへ到達しても、イドの包囲網の中では意味がないと思うのだが……？さすがにイド側の補給線が伸びきってひどい状況になっているとは思うが、大量の補給級を動員すれば、理論上はどんなに遠い場所でも遠征できると聞いた事がある……」

「……理想的なのは、イド生物群が戦力のほとんどをこっちへと投入して、日本国の軍隊が退治してくれる展開がありがたいんですが……この状況で、ワープゲートを日本国に確保されたら……今回の事件、享楽国が犯人だと思われちゃいますよね……。
仮にイド生物群を日本国に置き去りにできても、あとで国交を結ぶとか、そんな展開になった時、僕たちは不利な交渉を強いられると思います」

「報復で……享楽国が終了するのは嫌だな……」

「お主らアホじゃな。もっと良い方法があるぞい」

モフモフなキツネ娘が会話に割って入った。キーニャンだ。一応、主神である彼女の頭はいいはずだ。ニャンタンは期待をこめて質問する。

「つまり、先生は……すごい名案を持っているって事で良いですか？」

「イドをこの世界にほとんど置き去りにした状態で脱出して、ワープゲートを南方戦線に持っていて投棄すればええじゃろ？
イド生物群　VS　日本国が始まって、わしの民草は楽できるぞい？あとで日本国に聞かれたら、誰かがワープゲートを投棄したんじゃなー。わしは何もやってないぞいーって答えればええかのう？」

「外道か！？」

「うむ、君主とは孤独で外道なんじゃ」

「先生は別に孤独じゃないでしょ！？」

「ニャンタン、お主は良い事をいうのう？でも、わしの案は最強じゃろ？現状を打開できて最高じゃな？
将来へ禍根を残すかもしれんけど、そんなのは後で考えれば良いぞい。日本国VSイド生物群戦を見てみたいのう」

「いや、そういう展開にはならないと思うネ」

今度はリーファがツッコミを入れてきた。彼女は人差し指でチッチッと勿体ぶった動作をした後に――

「異世界へ通じるワープゲートを日本が占領したら、中国とかアメリカとか、色んな国々が口を出して派兵させろ、移民させろと文句を言うに決まっているアル。
地球列強諸国　VS　異世界になると思うネ」

ワープゲートだけは、享楽国が死守しないといけない。つまり、そういう事だった。
もしも享楽国が解体されて、信者たちが酷い労働環境とか晒される事態でも発生したら……一時的に信者がゼロになって、享楽の神キーニャンがただのニート狐になる。
そんな最悪な展開がニャンタンの脳裏をよぎった……。

前にゆっくり戻るよ！

ゆっくり次に進むよ！

【もふもふ・きつねっこぉ】　☚纏めたページ