2話 新たな仮面・新たな敵② 「中ボスが倒されたから――とうとう親玉が出てきたのだ」

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公開日: 2015年11月6日金曜日 (✿╹◡╹)スタイリッシュな王様 自作小説




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天空を飛ぶ紅い巨大戦艦ツァーリ。
1kmを超す圧倒的な巨体。
その下部にある展望室で……ナポは支配下に入った大地を眺めていた。
そして、彼の後ろにミーニャンがいる。巫女服がよく似合う見事な狐娘……不機嫌そうな顔をしていた。

「マスター……全部、終わりましたね。
2億人も殺してどういう気持ちになりました?」
「……豚は豚だ。2億匹と言った方が妥当だな。
豚を屠殺しても何にも思わんね」
「普通、漫画の主人公だと、虐殺をした罪悪感とかに押しつぶされる展開ですけど……マスターって本当タフな精神してますよ」

ミーニャンは肩を竦め、少し感心していた。
あれだけ一方的な大虐殺を平然と行えるナポの精神性に。
ナポはその疑問に答えてあげた。

「……初めての人殺しは暗黒大陸《アフリカ》でやってしまったからな。
今更、豚を殺しても、全くなんとも思わん」
「え?
マスターって人殺しだったんですか?」
「紛争解決人は、危険で、命が軽い紛争地帯で活躍する仕事だ。
当然、人を殺す必要も出てくる。
怪しい者は殺しても良い、身元を調べる手間暇をかける時間もない、警察は盗賊と同じ存在、余所者を見かけたら治安維持のためにすぐ殺そう……暗黒大陸《アフリカ》のシ●●●●●はそんな場所だった。
だから、私は治安維持のために――現地でたくさんの人間の処刑を住人に命じたのだ」
「……でも、殺人は殺人ですから裁かれませんか?」

ミーニャンが首を傾げて問うた。ナポは人差し指を流れるように立てて

「こう考えれば良い、ミーニャン。
処刑人が死刑囚を殺すのは悪い事かね?
人を殺す人間というものが社会にはどうしても必要なのだ。
殺すべき時に殺さなければ、社会は不安定化し、もっと犠牲者が増える」
「うーん、現実って大変なんですね」
「うむ、現実は辛い事がたくさんだ。
そして理不尽だ」

場の雰囲気がかなり重くなった。ミーニャンは話を変えて明るい気分になろうと――前向きな話題を持ち出す。

「……ところで、マスター。
新しい国を作るんですよね?
国名はもう決めたんですか?」
「モッフフー国だ。
響きが良いだろう?」

スタイリッシュらしさの欠片もない名前。ミーニャンは狐をピョコピョコ動かしながら驚いた。

「あ、あの、てっきりマスターの事だから、ネオ・ナポ帝国とか、薔薇帝国とか、そんな名前にすると思ってました。
どうして国名をモッフフーにしたんです?」
「この方がモフモフ・オンラインらしいだろう?」
「私、気分が良い時にモッフフーって呟いてますけど……どういう意味でしたっけ?」
「モッフフーという言葉に、深い意味はない。
だが、皆が生きてた頃、挨拶代わりに『もっふふー』を使っていた。
聞いていると不思議と癖になって元気になる。
『もっふふー』は、そんな魔法の言葉なのだ」

そう言われたから、ミーニャンも納得した。
自身も癖になって『もっふふー』をよく使う獣娘。
呟くと嬉しくなる、そんな魔法の言葉が国名なら……不思議と納得できる。

「……なるほどなるほど、モッフフー、良い言葉です。マスター」
「だろう?」

ナポは後ろを振り返った。
すると――ミーニャンの右手に、銀色の仮面がある事に気づいた。
ナポの白い仮面と違い、顔の上半分だけ覆う簡素な仮面だ。

「……ミーニャン。
その仮面は何かね?」
「いやー、演説の時に気づいたんですけど……マスターの今の仮面って不便じゃないですか。
顔を全部覆う仮面だと、食事が出来ないですよね?
だから、顔の上だけを覆う仮面を作ってみました」

そう言ったミーニャンの顔はとても嬉しそうだ。狐耳が元気良くピョコピョコ動いている。尻尾もフリフリと左右に動いていた。
ナポは銀色の仮面をゆっくりと受け取り、落ち着いた声で

「……君には本当に迷惑をかけるな。
ありがとう。新しい仮面を用意してくれて」
「新しい国作りをするんですし、仮面も新しくした方がいいかなーと。
それにずっと仮面を付けたまま……という訳にも行かないですよね?」

ナポの脳裏には――植物人間になる前、トラック事故でグチャグチャになった顔を……道路にあったカーブミラーで見てしまった記憶がある。
――皮膚が剥がれ、血まみれ、まるでホラー映画のゾンビのような醜い肉塊。
それがトラウマとなり、VRゲーム世界でも仮面をつけて生活する嵌めになった。
仮面を外すのは正直怖い。
だが、この世で一番の恩人《ミーニャン》の期待に答えるためにナポは決断する。

「なるほど、これは……トラウマの克服か。
よろしい、私は今ここで――」

ひと呼吸置いて

「千年の長きに渡り私を苦しめた『トラウマ』を半分、克服してみせよう」

決意したナポは、顔を全て覆う白い仮面を剥がす――そこには黒髪の優しい青年の顔があった。
心臓が爆発しそうなほどに――ドクンドクンと脈動する。
心が死にそうだ。だが、この程度の事を乗り越える事が出来なければ――王になる資格はない。
白い仮面をミーニャンに渡し、銀色の仮面を顔にゆっくりゆっくり嵌める。
すごく……呼吸が楽になった。
顔の上半分しか覆わないから、口元が前の仮面より楽だ。
ナポはニヤリっと笑う。

「……私はトラウマの半分を乗り越えたぞ、ミーニャン」
「ええ、さすが私のマスターです」
「ミーニャン、私はこの恩に報いたい。
私が作る国の……王妃になってくれないか?
たくさん苦労させるが……絶対に幸せにすると約束する」

ナポはとても真剣な顔で、ミーニャンの青い目を見ている。
このプロポーズに対して、彼女が返した返答は

「もっふふー♫」

狐耳がピョコピョコ動き、尻尾が横にブンブン動いてる様を見るだけで――ミーニャンがとても喜んでいる事が、ナポには手に取るようにわかった。
そのまま二人の顔が近づく。
あと少し、あと少しでミーニャンの薄い赤色の唇とキス――する寸前で、巨大戦艦ツァーリの人口知能が警報を鳴らした。

『ミサイル接近警報!
2光秒先から多数のミサイルを確認!
数は1万、2万、4万……たくさんっ!
核ミサイルの可能性が濃厚です!マスター!』

ナポは殺気を込めた目で、丸い警報装置を睨みつけた。
折角、金髪の巨乳狐娘とラブラブチュッチュッ!して、そのままベットin!という最高のシチューエションだったのに――全部台無しだ。
ミーニャンは狐耳を下に垂らして――首を傾げている。

「……マスター。
これって何処からの攻撃でしょう?」
「簡単だ。
私が屠殺した豚『ブロンブス』の地位は……総督。
つまり一地域を任されただけの下っ端だ。
RPGで例えるなら、たくさんいる中ボスの1人に過ぎない。
中ボスが倒されたから――とうとう親玉が出てきたのだ」

ナポは指をパチンッと静かに鳴らす。
一つの映像が空中に表示された。
そこには黒い機械歩兵――黒真珠元帥の姿が映っている。

「予備兵力として活躍する時が来た。
黒真珠元帥、一つ残らずミサイルを撃ち落とせ」

新たな戦いの幕が上がった。



この話のコメントまとめ+ 作者感想
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【小説家になろう】主人公の俺Tueeee設定がしゅごい【レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!
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【小説家になろう】 コルキスのお姫様になった件について、とうとうギリシャ神話の主神ゼウスをフルボッコにしてラストバトル
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3 件のコメント :

  1. (´・ω・`)二度目の修正はゆっくり後日

    (´・ω・`)早くお野菜さんの国を描きたいよう

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  2. パルメを超えた者だけがパルメになれる。
    ナポよ、今日から君がキャプテン・ゆんやーだ!

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    1. ナポ(´・ω・`)みろ、まるで皆パルメのようだ!

      削除

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)たまに投稿したコメントがエラーになるけど、プラウザバックすれば、投稿した文章が復活します

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)コメントの入力欄は小さいですが、右端の//をクリックして下に引っ張れば、かなり大きくなります。




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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。