3話 豚の国④ 「貴様らは生かしておけぬ」

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公開日: 2015年11月15日日曜日 (✿╹◡╹)スタイリッシュな王様 自作小説




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✿╹◡╹)スタイリッシュな無双!~進化しすぎた指パッチン~




ブータ帝国の帝都にあるブザンチウム宮殿。
宮殿の広大な庭園で昼食会が開かれた。
庭園は樹木が迷路状に配置され、無数の花々が咲き誇っている。
その一角に、細長いテーブル、その上に油をたくさん使った肉料理とスイーツの数々が並ぶ。
椅子に座るのは1匹と1人。
オークのオロ皇帝と、紅スーツを着たナポ王。
外交交渉を円滑に進めるために、メイド服姿のルビー元帥と、紅い機械歩兵10機を周りに立たせている。
ナポは無言でカチャカチャフォークを動かし、脂がたくさんのったステーキを食べて

「ふむ、この肉は何かね?オロ皇帝」

目の前にいるボンレスハム体型の豚に聞いた。
すると返ってきた答えは――豚の卑屈な笑み。

「それはエルフ肉でございます、ナポ殿。
寿命を延ばす効果がある超希少な肉です」

ブッー! ナポは口の中にあった人肉を吐いた。
そして、吐き終えると目の前にいる豚を睨んで

「私に共食いさせる気かね?
よろしい、ならばこの国は今日中に滅亡し――」
「ま、待ってくだされ!ナポ殿!
エルフ肉が嫌いとは知らなかったのです!」
「私は人間、獣人、エルフ、ダークエルフの混血《クォーター》なのだ!」
「い、今すぐ、料理人に責任を取らさせて処刑しますから、お待ちくだされ!」

慌ててそう言ったオロ皇帝は、近くにいる豚顔の側近に

「料理人を全て銃殺しろ!使用人もだ!メイドも殺せ!一族郎党皆殺しだ!」
「りょ、了解しました、陛下!」

側近が宮殿の方へと走っていった。
しばらく待つと
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」「なんでぇぇぇぇ!?!」
「どぼじでごんなごとにぃぃっ!」「ひでぶっ!」
「だずげでぇぇぇぇぇ!!」「ああああああああ!」
無数の豚の絶叫とともに、タタタターン!という銃声が聞こえた。
鳴り止まない悲鳴と銃声に――ナポは余計に不快になる。
だがナポが仮面を被っているせいでオロ皇帝はその表情に気づかない。
豚は醜い顔に、笑みを浮かべて

「ナポ殿……そろそろ自己紹介といきませんか?
私はオロ。総人口220億人を誇るブータ大帝国の皇帝です」
「ほう?220億匹か。
恐ろしい豚の数だな」
「ぶ、豚っ……!?」

挑発的なナポの言動に、オロ皇帝は顔をピクピクッと怒りに引きつらせた。
だが、ここでナポを怒らせたら国ごと人生終了――それを避けるべく、オロ皇帝は会話を続ける。

「な、ナポ殿。
お互いに不幸な行き違いがあったとはいえ、私は友好を求めております。
友好の証として、わが娘を妃として差し出しましょう。
この国で一番美しい姫『ポーク』です!」

その豚の声ととも、庭園の木の影から出てきた姫様は――豚だった。
ピンク色の高級ドレスを纏ったメス豚だ。父親そっくりのボンレスハム体型。
ブサイクすぎる外見に、ナポは絶句した。飲んでいるワインをオエッー!と吐いた。

(ぶ、豚の嫁!?だ、誰得だ!?
さっきから嫌がらせしかやってないぞ!?この豚!)

ポーク姫は、豚顔にブヒィーと笑みを浮かべ、両手を広げて走ってナポの元へと寄ってくる。
体重500kgくらいありそうな豚の突撃。
手足が大木のように太かった。

「あらまぁー!すごいイケメンの仮面さんだわぁー!ダーリンっー!チューしてぇぇぇぇぇ!あばぶっ!」

ナポの後ろに居たルビーが素早く動き、思いっきりポーク姫の体を蹴り上げた。
ポーク姫の体はバラバラになって散らばり、汚い肥料に変身。
庭園に咲き誇るお花さん達が可哀想だ。
これらの光景を見たナポは――ルビーが黒いスカートを、あざとくヒラヒラさせ、しなやかな脚線美を見せる芸術的な蹴り。
それに感動し、心がホッコリした。美しい。

(ふむ、さすがルビーだな。
パンツが見えないギリギリのラインを狙って、スカートをヒラヒラさせ、豚を蹴るとは……優雅なメイドとしか言いようがない。美しい犬娘だ。
やはり嫁は獣娘とエルフに限る)

豚の返り血を浴びて、メイド服を汚したルビー。
彼女はナポの後ろにゆっくりと戻り、黒いスカートを両手で少し捲し上げて、主に華麗に一礼する。

「ナポ様、失礼な豚を排除しました」
「うむ、ご苦労。
ルビーはよくやってくれた。褒めてつかわす」
「な、ナポ殿!」

娘を目の前で殺されたオロ皇帝が激怒して叫んでいる。

「どうして我が娘を殺したので!?」
「ふむ?
あれは貴様の娘だったのか?
すまないな、てっきり野生の太った豚だと思ってしまったのだ。
悪気はないのだ、オロ皇帝。
ルビーのスタイリッシュさに免じて許してやってくれ。
それに――豚は残り220億匹くらいいるのだろう?
その内のたった1匹だ。気にするな」

未だに宮殿の方で……使用人を大量虐殺する銃声が響いているから、ナポは不快の極みに居た。
オロ皇帝は怒りに顔が染まっていたが、ここでナポとの交渉が決裂すれば殺されるとわかっているだけに――

「そ、そうですな!
さっきのは豚です!野生の豚!
一体、何処から迷い込んだのでしょうか!?
ナポ殿には、後日、可愛い娘を差し出しましょう!」
「残念ながら……既に可愛い嫁が二人もいるのだ。
家庭が忙しいから、そういう話はご遠慮願いたい」
「な、なら!
ナポ殿の息子と我が娘を結婚させてはどうでしょうか!
両国との友好のためにっ!」

ナポは自身の銀仮面の縁を、右手で触れながら

「残念ながら子供は一人も居ないのだ。
これから作る予定なのでね」
「な、なら、ナポ殿の親戚に嫁がせるのはどうでしょうか!」
「残念ながら……私には血縁者が一人もいないのだよ」

なぜかオロ皇帝の顔が笑みで染まった。
それもそうだろう。
王朝の後継者が1人もいないという事は――ここでナポが死ねばナポ王朝は断絶し、勢力は致命的なレベルの内部分裂を起こす事を意味する。
オロ皇帝は近くにいる側近の耳に口を近づけ、小さい声で

「兵隊を集めろ。この無礼な人間に奇襲攻撃をかけて殺せ。
それと同時に、あの巨大な戦艦に兵士を送り制圧しろ。
メイド服の美しい獣人は私の性奴隷にするから撃つな」
「了解しました!」

この豚皇帝の話は――ルビーの犬耳にちゃんと聞こえていた。
彼女は犬耳をピョコピョコ動かしながら、ナポの耳元に嬉しそうに小さな口を近づけて

「ナポ様、あの豚。
ナポ様を殺して、僕を性奴隷にするつもりです。
どうなされますか?」
「所詮、豚は豚だったか。
まあいい、あの豚も私達の恐ろしさを知れば考えを変えるだろう。
豚とはいえ……損得で動く国家の指導者なのだからな。多少は賢いはず――」

ナポが言葉を言い切る前に、宮殿の方から銃弾が飛んできた。
銀仮面に直撃する。
それと同時に豚の兵士達が、迷路状の庭園から出てきて――自動小銃をナポと紅い機械歩兵に向け、引き金を全力で引いた。
熊を楽勝で殺せる12mm弾の雨。
だが、ナポと機械歩兵の身体にダメージは入らない。
銃弾の一発がルビーに当たったが、彼女のメイド服は銃弾を弾き返した。
だが、問題だったのは――機械歩兵が持っていた『千人の獣人が描かれた国旗』が銃弾でボロボロになった事。
ミーニャンが一週間かけて作った旗は、布切れと化していた。
苦労して描いたプレイヤー達の姿は、見る影もない。
それを見たナポは――思い出を汚された気分になった。
仲間達と一緒に過ごし、楽しくて充実した加速された千年間。
神聖な記憶を踏みにじられたような気分になった彼は

「貴様らは生かしておけぬ」

この無礼に対し、右手を高く掲げる。
指に力が込められ――パチンッと響いた。
その瞬間、召喚された百万機の機械歩兵、一個艦隊が空を覆った。
真っ赤だ。空が紅色だ。
そう、まるで――血の色だ。
オロ皇帝は恐怖して椅子から転げ落ちる。

「ば、馬鹿なっ!?こんな馬鹿げた事がありえるはずがない!
貴様はっ!貴様はっ!一体何者だ!?
どうして銃弾を浴びて死なない?!
こんなに大量の無人兵器を持っている!
答えろぉっー!」

豚の問いかけを無視し、王は命令を下した。
判決は――

「私の目の前にいる豚以外の豚は全て殺せ」
「「「了解しました!ナポ様!」」」

機械歩兵と艦隊は命令に従い、各地へと飛んで虐殺を開始した。
庭園中にいる豚の兵士はすぐにビーム砲で貫かれて即死。
宮殿で、料理人と使用人とメイドを虐殺中だった兵士達もビーム砲で殺害されて動かなくなった。
空を飛んでいた空中戦艦も撃沈され、市街地に落とされる。
効率よく豚を屠殺するために、高層ビルごと爆破して、一度に数千匹の命を奪った。
これらを背景にナポは――地面に無様に座るオロ皇帝を見下ろす。

「さぁ、交渉と行こうじゃないか、豚の王よ。
我が国に千年間、無償で望むだけの物資を全て差し出し、豚を自由に屠殺する権利と、我が軍が駐留する事を認めるなら――許してやろう。
今までの非礼の数々をな」

銀仮面が太陽に照らされ、キラリッと光った。


⑤に続く

この話のコメントまとめ+作者感想
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1 件のコメント :

  1. ´・ω・`)二度目の修正はゆっくり後日

    ハード展開になってしまったよう

    返信削除

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)たまに投稿したコメントがエラーになるけど、プラウザバックすれば、投稿した文章が復活します

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)コメントの入力欄は小さいですが、右端の//をクリックして下に引っ張れば、かなり大きくなります。




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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。