4話~狐娘「日本人に酒を売るぞい!」」
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公開日: 2017年1月30日月曜日 【もふもふ・きつねっこぉ】 自作小説 自作挿絵
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問い:なんで日本では屋台文化が発展しないの?
答え:だって、ヤクザの資金源になるし、衛生関連で役人がうるさいんだお……
補足説明+ネタバレ伏線ver
警察の魔の手から逃げたニャンタンとキーニャン。二人は雰囲気がガラリッと変わる繁華街へと着ていた。真っ赤で派手な中華色の建物が多数あり、隠れるように路地に露店がある。
当然だが、警察から逃げるために、ニャンタンはアルミ缶をその場に置いてきた。そのせいでキーニャンが狐耳を激しくピョコピョコさせて嘆いている。
「ワシの財宝が取られてしまったんじゃよ!悔しいのうっ!悔しいのうっ!悔しいっー!のぅっー!」
「……世の中、うまい話は中々ないですね……先生ぇ……」
「こうなったら、享楽国が誇る火酒を売るぞい!」
そう言って、キーニャンは懐から瓢箪のイラストが描写されているカードを取り出し、カード化を解除する。
狐娘の手に一リットルは入りそうな真っ赤な瓢箪が出現した。これは享楽の神キーニャンが持つスキルの一つである。キーニャンが作ったダンジョン世界でしかアイテムをカード化できないが、運送会社の経営者が大喜びして、馬車の御者を馬ごとリストラして『流通業には夢も希望もねぇー』と労働者が絶叫した過去がある。だってカードは嵩張らないし軽いし。千台の馬車でやってきた仕事を、カード化すれば一台の馬車で出来ちゃうのだ。
「火酒は美味しいのう!」キーニャンが瓢箪の蓋をあけて、グビグビっと辛い酒を飲み始めた。
「こらぁー!?飲んじゃ駄目でしょー!?アル中かぁー!?アンタって人はぁー!」
「ぷはぁー!うまいのうっー!まだまだ火酒のカードはあるから安心すればいいぞい!これだけ美味いなら高値で売れて最強じゃな?」
「な、なるほどっ!酒はどこの地域でも需要ありますもんね!さすがはアル中先生ですっ!」
「ふっ……酒の肴も美味しく食えて最強すぎるんじゃよ?」
「じゃ、どこで売りましょうか?アル中先生?手持ちの酒を全部売りましょう。ついでに断酒もしましょう」
「売るならここらへんでいいんじゃないのかのう?露天がたくさんあるぞい」
「そうですね!頑張って売って、アルミニウムを大量に仕入れましょう!」
ニャンタンは今度こそ成功するかもしれないと思った。普段は働かず、祭りでワッショイワッショイやっているキーニャンが労働意欲に目覚めてくれるかもしれない。だから成功して欲しかった。
アルミニウムよりも大事な何かが、この異世界でキーニャンの心に芽生えるかもしれないのだから――
「待てー!またお前たちかぁー!子供が酒を販売しちゃ駄目だろー!」
「親は何をやっているんだぁー!?これが家庭崩壊という奴なのかぁー!親の名前は!?住所はっ!?」
「ここで商売しちゃいかんと何度いったらわかるんだァー!」
青いイメージカラーが似合う警官達がやってきた。キーニャンは火酒を大事そうに抱えて、ニャンタンを置き去りにして逃げる。周りの露店も「アイヤー!」「大変アルッー!」「日本バージョンの城管がキタよー!」「逃げるアルー!」と叫びながら逃げていく。
ニャンタンの猫耳が下に垂れる。愛する狐娘の背中を追いかけながら、切実に叫んだ。
「先生の勤労意欲戻ってこいー!」
★★★
必死に火酒を守ろうとしたキーニャンだったが大きいし、嵩張るし、逃亡の邪魔になるからニャンタンが酒を捨てさせた。カード化を解除したアイテムは、再びダンジョン世界に戻さないとカード化できなくて超不便なのである。
大事な酒を警察に没収されたキーニャンは、悲しそうに場に泣き崩れた――
「酒を没収されたぞい!?ワシが一体、何をしたというんじゃ!?」
「よく考えたら……酒って、重税をかけやすい商品じゃないですか!そんなもんを勝手に販売したらどこの国の役人だって怒りますよ!先生ぇー!」
「享楽国の酒は安いぞい?」
「税金が安すぎて、経済室のタヌウが泣いてましたよ!?」
「なら増税すればいいかの?」
「仕事放棄している先生が言っていい発言じゃないでしょ!?」
「うむ、ワシは人民思いで良い為政者じゃな?しかし……困ったのう。困ったのう。困りすぎて尻尾の毛艶が落ちそうじゃよ……財宝が転がっているのにもって帰れないなんて酷いのう……」
「はぁ……この様子だと、何を販売しても警察がやってきそうですよね……なんか露店そのものが禁止っぽいですし……露店の人らもアイヤーって叫んで逃げてましたよ?」
「こうなったら、こっちの神様とか、その眷属神と出会って商売する許可を貰うんじゃよ!」
「もう帰りましょうよー!?というか、この世界にも神様いるんですか!?パルメドン神は何故か世界を超えても神託くれますけど!」
「わしの心は自由なんじゃー!」
「こらぁー待てー!迷子になっちゃうでしょー!?」
キーニャンが何処かへと行った。ニャンタンは慌てて後を追う。二人とも尻尾が大きくてモフモフだった。
★★★
そして10分後、大陸系商人が集うビルで色々と銃声がたくさん響く感じに大暴れした末に、ニャンタンとキーニャンはとある人物と出会った
黒いサングラスを被った怪しい東洋美少女である。真っ赤なチャイナ服を着ていて両手を長い袖に隠し、暗殺用の武器でも仕込んでいるのかと思うくらい、不審すぎるチャイナ娘であった。
「アタシは商売の神の眷属リー・ファーねー!よろしくヨー!見慣れない神様!」
「商売人なのに目を隠すのか!?」ニャンタンはツッコミをいれた。しかし無視された。
「大陸系商人は嘘つかないよ!本当アル!商売の神っ!関羽の信徒にして眷属神ネ!よろしくヨ!」
「無視しやがった!?先生ですらボケを返してくれるのに!?」
「早速、商談に入りたいアル!時は金なりヨー!これ、この国の諺ネ!」
キーニャンは、そろそろ眠くなってダルそうだったので、カード化を解除した火酒を出した。
「この酒を高い値段で買ってほしいんじゃよ」
リー・ファーは驚く素振りを見せる。だって、カードが大きな酒になるなんて、この日本ではありえない現象なのだから。
「アイヤー!?大陸商人5000年の歴史ですら見たことがないような凄い能力ネー!その力があれば世界征服できるヨー!流通業を制する奴が世界を征服するネー!超大国アメリカも滅亡確定ヨー!ネット通販最大手のamazonも倒産するアルネー!間違いないアルー!」
「残念ながら、この力はダンジョン世界でしか――モゴモゴ」
「先生ぇー!迂闊すぎるでしょー!?能力は秘匿してくださいよ!」
狐娘が余計な情報を与える前に、ニャンタンはキーニャンの口を手で防いだ。
リー・ファーはこれ以上、情報を聞き出せない事に残念そうにしながら、火酒を受け取り、蓋を開けて――
「その辺の話は無理には聞かないよー!あとでたくさん酒を飲ませてゆっくりと聞きたいアルー!
とりあえず、この酒を試しに飲ませていただくアル……喉がカラーイあるっー!あっー!
でも、やみつきになる辛さネー!家族仲が悪くて家庭崩壊しそうな金持ちの家に売れそうヨー!一リットル五百円でどうネ!アタシの店は税金ゼロの無免許免税店ヨー!」
「やった!売れたぞい!リットルという単位がわからんが、教えて欲しいんじゃよー!」
「先生ぇー!?どう見ても犯罪者ですよ!?この異教の信者!」
ニャンタンには無免許免税店という単語が分からなかったが、明らかに犯罪臭がする単語だったから反発した。しかし、享楽国を支配する偉大なる狐娘が優しい声で、ニャンタンの猫耳に声を響かせた。
「大丈夫じゃよ?」
「どこが大丈夫なんですか?」
「わしは偉大な神様じゃ!こやつが警察に裁かれてもワシは裁かれん!」
「正々堂々と犯罪行為を誇ってどうする!?異世界で先生の権威が通用すると思っちゃ駄目です!?」
「うむ、わしの心は鋼のように鉄壁じゃな?」
「腐食したクズ鉄にしか見えませんよ!?」
「アイヤー、二人とも仲が良いアルねー。夫婦仲が良いのは良い事ヨー。とっても強い絆を感じるアルー」
場を和ませるために、リー・ファーが冗談を言った。だが、すぐさまキーニャンが小さな右手でニャンタンを指差して――
「こやつはワシのペットじゃよ!夫婦神じゃないんじゃよ!ペットと結婚する変態と思われるのは心外じゃのう!」
「誰がこんなニート狐を嫁にするんですか!冗談でも言ってはダメな事がありますよ!先生の良さなんて……尻尾が大きくてモフモフな所ぐらいですが何か!?」
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露店は流水が使えず不衛生で 道路も塞いで交通の便も悪く 火災発生した場合 延焼が広がる恐れがあるので 都市計画の邪魔 というわけで 滅んでね
返信削除というのがお上の方針です
( ;∀;)ですよねー
削除( ;∀;)ゆっくり修正完了。一人称文章にしてみたいなぁーと思った。
返信削除(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)こらぁー!?
私はハンタのグリードアイランドのアイテム検索で、ここを見つけて「管理人コメが面白い」というのがメインで、その後にどうやら「小説もしてるらしい」という程度でその辺には関心は薄かったが、この狐娘シリーズは一種の考現学な感じもあって楽しんでるゾ。
返信削除(´;ω;`)なんて懐かしい記事。
削除それ、一日に百記事くらいUPしてた頃の記事だお