3話~狐娘「これでワシは超大金持ちじゃよ!」
8 件のコメント :
公開日: 2017年1月29日日曜日 【もふもふ・きつねっこぉ】 自作小説 自作挿絵
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キーニャン達は効率よくアルミ缶を集めるために、そこら中のゴミ箱というゴミ箱を漁り……いや、調べまくり、中を確かめた。だが、アルミ缶という代物は低コストでリサイクルできる資源という事もあり、普通のゴミ箱には入っていない。入ってるのは美味しそうな廃棄弁当とか生ゴミだけだ。
公園中のゴミ箱を調べている内に「あらやだ、ホームレス狐娘?」「親は何をしているのかしら」というオカマ達の声が聞こえたが、キーニャンは気にせず調べた。その結果、自動販売機の隣のゴミ箱にたどり着く。
そこはアルミ缶の宝庫だ。日本人にはゴミにしか見えないだろうが、ニャンタンの目には宝石よりも希少価値がある財宝に見えている。「もふぅ~」という嬉しい溜息を吐き、彼はゴミ箱で回収したビニール袋に次々とアルミ缶を詰めた。
「財宝がザクザクじゃなぁ~。わしは大冒険家の素質があるのかもしれんのう?」
「……先生も楽しいですか?」
「ぶっちゃけ……あとは全部、弟子に任せて眠りたいのう」
「なまけものか!?」
「うむ、働きたくないのう。毎日遊んで暮らせたら最高じゃな?」
「認めるなよ!?というか先生、まともに働いてませんよね!?僕ばっかり労働してますよ!?少しはアルミを集めるのを手伝えよ!駄目狐になっても知りませんよ!?」
「それにしても、この文明は凄いのう……アルミがゴミ箱にたくさんあって凄いのう」
ニート狐が視線ごと話を逸らした。目の前の狐娘が労働をしないのはいつもの事だ。それにニャンタンには気になる事がある。
アルミ缶が大量に入った容器の隣にある大きな箱だ。明るい光がついていて、大量の新品状態のアルミ缶がガラス窓の向こうに展示されている。じっくりと見ていると『自動販売機』という道具名がわかっただけで、何のためにこの公園に設置されているのかは謎だった。
「先生、これは……何の道具でしょう?アルミで作った容器っぽいですけど……」
「お主の鑑定スキルで分からんかのう?」
「自動販売機っていう名前の道具らしいです」
「ほう児童販売機とは猟奇的な名前じゃなぁ……奴隷市場の異世界バージョンかのう?」
「一体、どんな勘違いをしているんだ!?そんなクソみたいな異世界だったらもっと治安が悪くなってますよ!?」
「冗談じゃよ?しかし……アルミニウムの缶に絵を印刷するとは……凄い技術じゃな……ダンディなオッサンが描かれている容器に、コーヒーって描いてあるのう」
「飲料水って書いてあるから、どうやら飲み物っぽいですね……って、何ですか!この文字!」
「どうしたんじゃ?」
「めっちゃ複雑ですよ!?この文字!」
ニャンタンは気づいた。この飲料水にびっしり描写された文字の数々を。神様だから文字を学ばずとも意味がわかるが、普通の知的生命体には習得すら困難すぎる複雑すぎる文字がズラリッと並んでいるのである。
「うむ……よくわからんのう?わしは産まれた時から、文字を学ばずとも意味がわかるから、文字なんてどうでもいいんじゃよ?」
「とりあえず、何文字ある言語なのか、パルメドン神にでも聞いてください」
「仕方ないのう……もっふ、もっふぅ、パルメドンッー!もっふ?パルメドン?」
狐娘が踊った後に重い沈黙が場に流れた。いつもなら受信した神託の内容をキーニャンが気軽に言ってくれるのに何の返答もない。それどころか首を傾げている。
ニャンタンは何かあったんだなぁと理解し、狐娘に話しかけた。
「……ど、どうでした?」
「1万、2万、3万、4万、5万、たくしゃんー!って叫んで、パルメドン神が発狂しとった。珍しい事もあるもんじゃな?」
「神すら発狂するレベルで文字があるの!?」
「うむ、最強じゃな?」
「そんだけ大量の文字をどうやって習得するんだ!?この猿から進化した奴らの知能凄すぎるでしょ!?」
「さすがはワシのペットじゃな?」
「捨てた癖に飼い主面するのは駄目です!」
「それにしても……この大きな箱はなんじゃろう?飲料水を販売する無人販売所かのう?明かりが付いてキラキラじゃよ?自動販売機の自動ってどんな意味じゃろ?聞きなれない言葉じゃよ?」
自動販売機を見上げたキーニャンとニャンタン。そこにアホっぽい若者がスマホを片手にやってきた。ズボンのポケットから百円玉を取り出し、自動販売機の投入口にカランッと入れ、点灯したスイッチを押す。
そうするとダンディーなオッサンの顔を印刷したコーヒー缶が、ゴトンッという音とともに自動販売機から出てきた。残念ながらアルミではないようだ。鉄との合金っぽい金属缶である。
「チョーやべぇー、まじやべぇー。あの女やべぇー、デートして殴ってきてやべぇー」
そのまま、薬でもやっているのかもしれない若者は、コーヒー缶をもって何処かへと去っていく。
「まじぱねぇー、最強ー」
文明の利器を使いこなす珍しいサルを見る感じで、ニャンタン達は若者の背中を見送る。若者の姿が完全に見えなくなるとキーニャンは狐耳を激しくピョコピョコ動かしながら叫んだ。
「完全な無人販売所じゃと!?自動ってそういう意味だったのかの!?あのキチガイみたいな奴でも扱える時点で凄まじい汎用性じゃな!」
「ど、どういう仕組みなんですか?!これ!?」
「中に人がいるのかもしれんのう?」
「こんな箱の中にいたら発狂するでしょう!?パルメドン神に聞いてくださいよ!先生ぇー!」
「パルメドン神も発狂しとるから無理じゃ」
「パルメドン神っー!?」
ニャンタンは人生で初めて、パルメドン神に対して申し訳ない気持ちになった。無料で酷使してごめんなさい。後で狐娘の尻をペンペンするから許してください。
しかし、当のキーニャンには反省の姿が全く見受けられず、自動販売機を見て冷静に考察していた。
「弟子よ……少なくとも……ワシの国にこれを導入するのは止めた方がええのう」
「え?どうしてですか?完全な無人販売所を量産できたら、物価が安くなりますよ?」
「雇用が減るじゃろ……大きな籠を持って、都市のあっちこっちで商品を販売しとる連中が丸ごと失業して、社会問題になって大変な事になるのう」
「あ、なるほど……って先生!?今の発言は政治家っぽい内容でしたよ!?やる気が出てきましたか!?」
「うむ、わしは民草思いの良い君主じゃな?」
「人民を草扱いしている時点で、勝手に地面から生えてくると思っているでしょ!?」
「職についてなくても、海があるダンジョンに行って魚をとれば生活できるしのう……失業しても無問題じゃな?ワシも無職ニートになりたいのう。。ふぁぁ……少し眠いのう……そろそろ帰るかの?」
「……そうですね、先生。僕もツッコミのしすぎで疲れました」
アルミ缶を50缶ほど入手できた事を、ニャンタンは誇らしく思った。一晩だけでこの成果である。次からもっと効率よく財宝(アルミ)集めができそうな上に、キーニャンの勤労意欲も刺激できそうだ。
真に、この異世界とやらの偉大さに、ニャンタンとキーニャンは感心するしかない。ちょっとしたお小遣い稼ぎ的な意味で。
「これだけあれば金貨が千枚くらい手に入るかのう?美味しい料理がたくさん食えて、お小遣いのキーニャン予算がウハウハじゃ――」「コラァー!」
狐娘の楽しい言葉を遮る形で、公園の入口側から声が響いた。ニャンタンがそちらに顔を向けると、青い制服を着た男達が走って、こちら側に向かってきている光景が見えた。
「コラぁー!?ゴミ箱のアルミ缶を勝手に持って行っちゃ駄目だろー!」
「親は何をしているんだぁー!」
「俺たちは小さい子供達を補導する事を強いられているんだぁっ……!」
アルミ缶はとても軽いが、中身が空洞で大きい。つまり、とても嵩張る荷物だ。こんなものを持ちながら警察から逃げるのは困難すぎた。
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(´;ω;`)家帰ってからゆっくり修正するお
返信削除(´;ω;`)ゆっくり記事を今から修正
削除中世レベルですと 児童販売機ごと 盗むやつとか ぶっ壊して盗むやつとか 続出しますよね。
返信削除(´;ω;`)大丈夫じゃ。設置する予定そのものがないからのう。
削除でも、美味しそうなネタじゃな。
(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)そんなー!?
パルメ先生は、エッセイとか小説を無理に書くより こち亀みたいな ネタ継続で やる方が良いと思います。
削除(´;ω;`)皆、長編しか読まないから、長編小説を書く事を強いられているんじゃ
削除(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)先生ぇー!?
多分異世界では金とかが鉄みたいにザクザク採掘出来るんじゃねーの。
返信削除このネタお気に入りみたいだけど地球の一地方で一時期そうだったてだけなのに、引きずりすぎてるような・・・・
(´;ω;`)包囲殲滅陣みたいに、話題になりたいのう
削除(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)アルミニウムの価値が高すぎるだって!?