31話 詐欺戦争-14 「詐欺戦争 【LV0の不死王!】

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公開日: 2016年5月9日月曜日 LV0の不死王 自作小説





ゆっくり次に進むよ!
LV0の不死王!】 ☚纏めたぺーじ

ピィザ軍の兵士たちは不安に包まれていた。
ピィザ人は、この異国の地で果てる事に恐怖し、セイルン人は、故郷が人外の化物に支配されるかもしれない事に恐れ戦(おのの)く。
軍隊は、進撃を開始した瞬間、崩壊へと進んでいく傾向があるから、これは仕方のない事だ。
一応、飯は食えるが、戦場に行けば命の危険があるし、体が欠損したら強制的に退役させられて路上生活END。
下っ端である彼らの理想は、五体満足のまま戦争で金を稼ぎ、それを元手に自分の人生を成功させる事。
もしくは出世し、貴族や騎士の一人となり、安定した生活を送る。
つまり、現時点の彼らは貧乏人だ。
貧乏だからこそ、戦場にいる。
地球最強のアメリカ合衆国の軍人さんだって、経済的な問題を抱えて、軍人になった人が多いから、地球でも異世界でも、貧乏人だからこそ、戦場にいるのであり、ピィザ人はともかくとして、セイルン人にはピィザ3世と一緒に死ぬ動機が欠片もない。
それが全軍崩壊へと繋がってしまうのは必然だった。

「陛下は逃げたぞっー!俺たちを見捨てたんだぁー!」

「こんな所にいられるかっ!俺は逃げるぞっ!」

「それっ!死亡フラグっ!」

戦場に響く、わざとらしいセリフ。よく聞けば愛らしい女の子の声だと分かるはずだ。
だが、窮地に立たされた兵士達には、甘い蜜。
逃げたら、命は助かるかもしれない。
今なら逃げる事は簡単だ。
逃亡を阻止するための騎兵集団が軒並み壊滅しているから、追跡は行われない。

「おい、やべぇから逃げようぜ」

「でも、給料もらってないぞ?」

「命あっての物種だ。ここは逃げた方がいいだろ?」


このような会話が各所で交わされ、崩壊が始まる。
一人逃げれば、二人逃げ、それを見た人間も逃げ、集団の持つエネルギーは、バラバラに分散され、逃げる事に注がれてしまった。
防御あってこその攻撃という言葉がある通り、防御基盤が崩壊した軍勢は脆い。
すぐにデュラハン達が後ろから追撃して射撃して、人間を狩り殺す遊びが始まった。
生前、遊牧民族だった頃のように、殺しまくった農民どもを思い出し、徹底的に矢を放ち殺す。
12万の人間達が様々な方向へと砂漠を逃げ回り、たった1000騎のデュラハンが残虐の限りを尽くしていた。
そして、彼らが目指す先には――怒鳴っているピィザ3世がいる。

「誰だぁー!
この流言を流している奴はぁー!
余は逃げも隠れもせんっ!」

こいつさえ殺せば、この戦いは勝利だ。

「……陛下、逃げましょう。
こうなっては打つ手はありませぬ」

軍師チィズの力ない声。
これが初めての負け戦になるのかと思うと、ピィザ3世は悔しくて悔しくてたまらなかった。
大陸北部に大帝国を築く夢が遠のく、そんな気がした。
幸い、歩兵達が縦列を乱して逃亡を開始した事で、デュラハン達は真っ直ぐやってこれない。
だって、デュラハン達の散兵戦術は、突撃力が犠牲になるという明確なデメリットが存在する。
逃げ惑って交通渋滞状態の兵士を、体当たりして吹き飛ばすのは、リスクがありすぎた。
今のデュラハンと彼らが乗る亡霊馬は、聖なる太陽のせいで、ステータスが4分の1に低下し、とっても疲れやすくて、傷が付きやすい。
矢だって至近距離が浴びれば刺さる。
投石で金属が凹む。
だからこそ、攻撃されるリスクを最低限にするために、自走砲や戦車に似た役割を放棄し、仕方なく(楽しげに)遊牧民族の戦い方をしているだけだ。
ゆえに、デュラハン達は一定距離を取り、人間めがけて矢を撃ちまくる。
このやり方なら、精鋭を温存したまま、敵を数多く殺し、いずれはピィザ3世を仕留め、勲功第一位を獲れる。
デュラハン達は呑気に、そう思った。
だが、最悪な事に、この場には不確定要素がある。
ノーライフ・オンラインを作り上げた鳳凰院博士。彼がなぜ、この世界にワルキュラを送ったのか、誰もツッコミを入れてないから忘れがちだが――本当にやばい敵は、別にいるのだ。

「な、なんだっ!?」

この場にいる全員が、声を上げる。
砂漠の大地が揺れ動き、流砂が発生し、歩兵とデュラハン達を次々と飲み込み始めた。
酸素呼吸してないデュラハンはともかく、人間の歩兵には致命的すぎる。
砂に底に飲み込まれたら、すぐに窒息死して、死ぬしかない。。

↑↑↑↑↑【ピィザ軍】↑↑↑↑

    歩歩   歩歩
    歩   歩歩   歩 
    歩歩歩  歩
    歩歩 歩 歩 ☚歩兵の略称
      歩歩歩歩  
    歩歩歩  歩
    歩歩     歩歩
    歩歩  歩歩
    歩歩歩歩 
  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
鎧    鎧    鎧  鎧

  鎧    鎧☚デュラハンの略称
    
↑↑↑【デュラハン機動軍】↑↑↑↑↑



戦闘どころではなくなった。
騎兵は機動するからこそ、価値があるのであり、戦場そのものが地震で崩壊してしまった今、その集団の持つエネルギーのほとんどが殺される事になる。
幸い、デュラハンは地下空間で生活する事を前提にした生き物だから、生き埋め状態でも全く問題はない。
地下空間でステータスが全回復するから、その怪力でゆっくりと地上に戻れば良いだけだ。
暇な幽霊娘も捜索活動に参加してくれる。
両軍は戦闘を中断し、混乱を収集する事に、そのエネルギーを費やす。
すると――軍師チィズが、空を指し示した。

「陛下っ!あれをご覧ください!」

ピィザ3世は、その指の先を視線で追う。
空にあったのは、聖なる太陽。
そして――何千万人という人間が居住可能なコンクリートジャングルがそこには広がっていた。
狭い土地を有効活用するために造られた高層ビル群が『逆さまの状態』でずらりっと並んでいる。

「天空の大地っ……!?」

日本の有名RPGドラクエでよく登場する、そんな地名をピィザ3世は呟いた。
世の中の常識が一変に変動し、変わり果てた。そんな気がした。
重力に逆らった不思議な都市群が天空一面に広がっている。

「陛下っ!あれは、ザナンの都市ではないでしょうかっ……?」

「ザナン?
チィズ、何だそれは?」

「陛下は歴史の授業で聞いた事がありませんか?
遥か大昔の時代に、地上を全て統治したという恐怖の国の事です」

「歴史の授業は好きだぞ!
余のご先祖様がよく登場するからな!
勉強の中で一番好きなジャンルだが……ザナンは聞いた事がないな、はて?」

ピィザ3世が知らないのも無理はなかった。
人間が学ぶ歴史で重要なのは、ここ数十年か数百年の出来事。
遥か大昔の事となると、ファンタジーたっぷりの御伽噺話となる。
ピィザ王国の歴史は、『神話を実話扱いにしたトンデモ物語』で、内容がとっても偏っているのだ。

「砂漠がこの有様では、化物ども追撃できないようですし……流砂を避けて移動しながら話しましょう」

チィズは疲れた顔で、周りを見渡し、大混乱中の自軍を見渡した。
流砂が発生しすぎて、各地で軍団は分断され、数百人単位での集団行動は不可能だった。
ピィザ3世の隣に馬を並べ、周りの武将たちの敵意を浴びながら彼は語る。

「……これは数千年前の大昔の話です。
世界各地に残っている神話とでも言った方が良いかもしれませぬ」

「神話とはあれだろう?
主神がハーレムして、美女を次々と不幸にしまくるアレであろう?」 どこのギリシャ神話だ。

「いえ、この神話はそれとは違うのです。
普通、神話といえば、『神々が人間を作った。だから偉いんだ。王は神の子孫だ』という設定が多いのです」

「おいこら待て。
ちょっと粛清しないといけないな~という気になったぞ、チィズ。
余は主神の生まれ変わりだと、自分では思っておる」

「ですが、この神話は違います。
邪悪なる邪神が、人間を食べて虐待して遊ぶ恐ろしい物語なのです」

「王を無視するとは、貴様も良い度胸をしておるな。
もし余が酒に酔っていたら、投げ槍で串刺しにしておるところだぞ?
まぁよい……さっさと邪神とやらの事を話せ」 どこのアレクサンドロス大王だ。

「その邪神の事を、神話ではザナンと伝えていました。
何でも、天にも高い石造りの『高層ビル』という建造物をいくつも建造し、宇宙を飛ぶ船すら作ったそうです」

「なんだ、その程度か。
余の国の神話には、惑星を永遠に持ち上げる罰ゲームやっている神がおるぞ?」THEギリシャ神話

「ピィザ国に伝わる神話と違い、このザナン神話とも言うべき物語には、物証があるのです。
世界各地に伝わる遺跡群。海底都市。侵入者を殺す化け物。
少なくとも、高度な文明があった事は確かであり……その遺跡そっくりなのがアレです」

チィズは天空を指し示した。
逆さまの大都市がどこまでも広がっている。
視力が良い人間なら、高層ビルの一つ一つに人間らしい生物がいて、何らかの作業をやっている様子が見えた。

「……まぁ、なんだ。
余の国の神話より、遥か格下な物語なのだな」

「神話というより、古代史と言った方が良いかもしれませぬ。
問題なのは……先ほど言ったように、ザナンの邪神達は人間を食らい、想像も及ばない悪意を持って非道な事をした。
それが世界各地に語り継がれているのです」

「で?
その神話だか、古代史だか分からんが、遥か昔に滅んだザナンという連中が関わっておるのか?
正直、話のスケールが小さいぞ。ザナン何とか」

「……言い伝えの一つによれば、ザナンという国では人間を元に、様々な生物を創造したと言われております」

「余の国の神話では、人間は粘土から作――」T

「その創造した生物の一つに、動く骸骨があるのです。
もしも、これがザナンの連中の仕業だとするならば――この時代は後世からこう呼ばれるかもしれません」

チィズは真剣な眼で、ピィザ3世を見つめて

「――暗黒時代」




 

今回のコメントをまとめたページhttp://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Fusiou/c32.html
小説サイト「暁」 利用者が激減しすぎて大変どんhttp://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_65.html
「俺は唐箕で、穀物の精選をして農業チートする!」江戸時代の日本http://suliruku.blogspot.jp/2016/04/blog-post_56.html



  

ワル「見えない敵と戦っている奴らだな……
ザナンってなんだ!
俺は、現代日本人ですが何か!」



ルビー「夜伽まだかなぁ」

ゆっくり次に進むよ!
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3 件のコメント :

  1. (´・ω・`)ゆっくり修正してゆっくりお休み

    (´・ω・`)ピィザ3世に、視点を固定したかった今日このごろ

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  2. 一当てして無駄に被害が増える描写有った方が良いかもしれんと思った
    今まで常勝で報償が的確に払われていた場合
    相手の軍の10倍で負けると思い込む兵士より
    金に目が眩んだ奴らが勝手に突出する可能性の方が高いんじゃないかと思ったり
    あとは先行した軍が精鋭でそれが完膚なきまでにたたかれた描写を
    逃げてきた兵士が広めた描写が有った方が
    軍の士気の低下に著しく繋がり裏崩れになる可能性が増えるかも
    今のままだと個人的には崩れる描写には繋がりにくいんじゃないかと愚考

    返信削除
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    1. (´・ω・`)視点を死ぬ予定の 下っ端兵士にすればワンチャンス


      下っ端(´・ω・`)うわぁー!流言チートで殺されるっー!


      下っ端(´・ω・`)逃げようにも、交通渋滞が発生したぁ!?
      そうだっ!南に逃げよう!


      下っ端(´・ω・`)砂漠だから……人里から離れたら、そのまま死ぬ地形なの忘れてた……ガクリッ

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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。