3話 大商人メイリン「本を上げるアル」 【本好きの成り上がり(TS
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公開日: 2015年12月29日火曜日 TS 自作小説 本好きの成り上がり
ゆっくり次に進むよ! |
正直言うと、私は砂漠を舐めていた。
砂漠。それは熱い日差しが襲ってくる死の土地。
洗濯物を干せば、一時間で完全に乾くだろうと思えるほどに乾燥している自然のサウナだ。
水分補給しないと、私は干物になる未来が待っている……そんなもんに需要はないだろうが。
村は何処にある?
オアシスは?
分からない。私は海沿いに歩けば、港町にたどり着くと思ったのに何もない。
自分の出した小便を貯める容器すらない。
このままでは水分不足で死ぬ。なに?海水を飲め?それは無理だ。
人体の60%は水分で出来ている。体中に栄養を行き渡らせるために、水は運用されている訳だが……海水は人体にとって色々と毒なのだ。
身体は毒に対処するために、余計に水を欲して喉が乾く。
しかも、海水中の硫酸イオンやマグネシウムイオンは下剤として作用するから、この状況で海水を飲めば死を早めるだけ。
……綺麗な水が欲しい。
さっきの盗賊団に捕まった方が良策な気がするほどに……砂漠は灼熱地獄で辛い。
頭が痛い。飛んでくる砂で火傷しそう。
日差しが白い肌を焼いて、ジリジリと苦しめてくる。
こういう時こそ、本の知識を活用しよう。
確か、砂漠は暑いから、日陰でダラダラするのが砂漠での生活だ。
そして一番厄介なのは、砂嵐。確か遭遇すると大量の砂が高速で飛んできて、かなり痛いとか本に書いてあった。
よし、無数の知識が私の中にあるぞ。これでなんとか……困ったなぁ。
砂漠で生活する知識。役に立てようと思ったら道具必要だ。
私の持っている物は、ボロボロの布の服だけ。
水を貯めるのに便利なビニールも器もない。この世界の生態系が分からない。
『誰か助けて~。ヘルプミ~』と言えば助かるなら、プライドを捨てて言ってやろう。
砂漠で遭難したら、生きる気力を失うだろうから、死んだらそのまま復活せずにあの世行きだと思う。
なぜだ?エロイナってこんなに酷いゲームだったか?
普通、序盤はチュートリアルがあって、周りは草原地帯だろ?
そんで近くに街がある。そんなゲームのはずなのに酷すぎる。
私の第二の人生は、砂漠で終わりそうだ。
もう一度、来世というものがあったら、森林と水資源に溢れた国に住みたい。
そう絶望的な思いをしながら、浜辺を歩いていると
「アイヤー!
そこの少女よっ!
アタシの商品を買わないアル?」
海の方角から元気すぎる女性の声がした。
振り向くと、海に浮かぶ一隻の大きな船がこちらへと向けて近づいてくる。船は風を動力にして動く帆船。
その船首に、緑色のチャイナ服を着た黒髪の猫耳少女がいた。
胸はほどほどに大きく、チャイナ服の魅力を活かしきっている。主に綺麗な太ももを露出して美しく見せる的な意味で。
商売スマイルで胡散臭いが、今の私から見れば救いの女神さま。
きっと、私を売り飛ばそうとする奴隷商人か何かだろう。
日本じゃあるまいし、善意で助けてくれる人がいるとは、とても思えない。
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キタイの大商人メイリン
数年前にこの世界に突如現れ、大商人へと成り上がった種族:猫の神である。
商売をすれば、きっと重要なチャンスを得られそうだ。
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……このナレーション。信じて良いのだろうか?
いや、この生きるか死ぬかの状況だと、相手が奴隷商人でも良い。
今の私は見た目だけは良い不老少女だ。きっと高く売れるはず。
金持ちなら本をたくさん持っていると思うから、本を読めてゆっくりできる。
さぁ、来い。奴隷商人。
私の覚悟は決まったぞ?
私を奴隷として捕らえるが良い。やっぱり……悔しいっ……!
自由に本を読める日本社会で育った私としては、奴隷生活を強いられるのは苦痛だ。
そうやって一人芝居をしながら苦闘していると、大きな船はそのまま浜辺へと突入。
白い砂浜を蹴散らし、浜辺に潜んでいた貝殻系のモンスターを「ギャッ!」踏み殺して止まった。
「とぅっ!」
大商人メイリンは船首から飛ぶ。華麗に空中で何度も無駄に回転して……着地に失敗。私の前の砂浜にすっぽり頭から埋まった。
何がしたいんだ。この娘?
一瞬、大笑いしそうになった。私の身体が若いせいか、こういう娘見るとお腹が痛い。
メイリンは、すぐに砂浜から首を抜き、ニッコリと私に優しく微笑みかけてくる。
「アイヤー!
着地失敗したアルねー!」
……ところで私に何かようか?
出来れば助けて欲しいのだが。
砂漠で遭難して干物になりそうなんだ。
「私はキタイの大商人メイリンよ!
カグヤとの出会いを記念して、これらを送りたいネ!」
メイリンは見事に私の問いを無視して答えた。
会話のキャッチボールが出来てない。その程度のコミュニケーション能力で大商人は勤まるのだろうか?
それよりも……なぜ、メイリンは私の名前を知っているんだ?
いや、待てよ。
向こうにもナレーションが表示されているのか?
うわぁ……この世界。プライバシーってものが存在しないのか。
危険人物は危険人物っぽいナレーションが流れるかもしれない。
迂闊に犯罪できないな。最初から犯罪する気もないが。現地の法律や常識を知らない私に、どうやって法律守れと?
こうやって私が悩んでいる間に、メイリンが次々とアイテムボックスという異次元空間から、色んなアイテムを私に渡してくる。
水、食糧、地図、服、パンティー、武器、防具、魔石などなど、至れり尽くせり。特にこれらは超貴重品だ。
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地図
それは紙で出来ている
それは錆びない。
それは燃えない。
あなたがいるフミーダイ公爵領の地理が詳細に書かれている謎の地図だ。
持っている事がばれたら、逮捕されるだろう。
カグヤ帝国製だ。
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私と同じ名前の国があるのか。
エロイナ世界は広いな。
この説明で一番注意する必要があるのは
『持っている事がばれたら、逮捕されるだろう』だな
地図は、戦争にも国の発展の両方に使える重要な情報の塊だから、持っている事がばれたら酷い事になる。
紙に適当に道と川を書いて描写した地図ですら、昔は国家機密だったのだ。
ばれたら良くて刑務所か強制労働。悪くて死刑だろう。
あと、わたし的には次のアイテムが嬉しい。
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無の魔法書。
それは紙で出来ている
それは錆びない。
それは燃えない。
内容を完全に暗記すれば、無属性魔法を使えるようになる魔法書だ。
日本語という異世界の言語で描かれている。
カグヤ帝国製だ。
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本だ。本が読める。活字中毒のわたし的には万歳すぎる。
でも……なんだろう。これ?
ゲーム時代。こんなアイテムあったか?
この世界の魔法って、基本的に店で売っている魔法を購入して使う擬似魔法だから、魔法書なんてアイテムは初めて見た。
「アイヤー。
カグヤは魔法書を知らないアルか?
説明してあげても良いアルよ?」
そう答えるのは、胡散臭そうな笑顔のメイリン。
私は頷いた。きっと、こいつは良い奴だ。本を無償でプレゼントしてくれる時点で聖人という生き物に違いない。
今度、会う機会があったらマザー・メイリンと呼んであげよう。
「その魔法書は、完全に内容を暗記すると……魔法をMPの消費だけで無制限に使えるレアアイテムね。
百万ゴールド相当の価値がアルよ」
「百万ゴールド!?」
でも、分かる気がする。
魔法をストックして消耗品として扱う擬似魔法は使えば使うほど、金を必要とするから……練習でのスキルレベル上げですら、大金を必要とする。
言わば、この魔法書は金の成木そのもの。
私はそんな貴重な魔法書のページを指で素早くめくり、一気に分厚い本の内容を読んで暗記した。
速読と暗記は、活字中毒な私の得意技だ。
魔法の術式が私の中で浮かび上がり、どうすれば魔法を使えるのか理解できた。
魔法そのものが、漢字を使った高度なプログラミング言語。
魔法を使えば使うほど、プログラミングの仕方が分かって効率が良くなる仕様だと理解できた。
早速、浜辺でゆっくりしている生首モンスター目掛けて撃ってみよう。速度30程度の雑魚モンスターだから喧嘩を売るにはちょうどいい相手だ。
「無の矢」
生首目掛けて、1本の白色の矢が超光速で飛ぶ。
無属性魔法は対策不可能。だからどんな相手にも一定の効果が期待できるのが利点。
矢は標的に当たった瞬間、生首モンスターは弾け飛んで死に、複数のアイテムをその場にドロップする。
……凄い。
魔法良い。子供の頃の中二病を満たしたような感じが心地よかった。
使えば使うほど、漢字を使った魔法プログラミング言語への理解が深まる仕様なのもありがたい。
「さすがネっ!
もう本の内容を覚えてしまったアル!」
私が無属性魔法を使った事に、メーリンが大げさに騒いだ。
……確かに私の暗記能力は天才レベルだが、そんなに驚く事だろうか?
日本語なんて簡単だろう?漢字は多いが慣れれば文脈で何の文字か分かるだろう?
「大げさじゃないヨ!
日本語は漢字が5万種類もある時点で狂気の沙汰ネ!
日本語を考えた奴は絶対、頭が可笑しいヨ!
日本語を使いこなせるのはカグヤと同じ異世界から来た連中と、優秀な研究者だけネ!
カグヤはその中でもトップクラスに凄いヨ!」
日本語の連呼が煩い猫娘だ。無論、このような事は言葉に出して言わない。
恩人である彼女の機嫌を損ねるのは良くない事だ。
……ん?私たちが会話している言語は日本語じゃないのか?
「翻訳の神様の力で、全く違う種族とも会話できるネ!
これがこの世界の常識ヨ!」
確かにメイリンの口元を見ると、とても違和感がある。
私には日本語で聞こえるのに、彼女の口の形は全く別の言葉を紡いでるようだ。
後、一番気になった事なのだが……メイリンの今までの反応から考えると、彼女は私の事を知っているのだろうか?
よく考えたら、私の速読と暗記能力を事前に知っている人間が見せる顔だ。これは。
君と私は……何処かで会った事があるのか?
「カグヤとは深い深い関係アルヨ~。
聞きたいアル?」
意味深で胡散臭いメイリンの笑み。
もしかして……序盤に表示されていた『あなたは記憶を喪失している』というナレーションは、真実なのかもしれない。
私は頷いて話を待つ。するとメイリンはピンク色の扇子を取り出して、勢いよく広げ、口元を隠しながら――
「アタシはカグヤを守るために、百年後の未来からやってきたスーパーエージェントね!
カグヤが死ねば人類絶滅の時間軸が誕生するアル!
そうなったら、最悪の場合、アタシの居た未来が消滅するかもしれないネ!
だから、徹底的にカグヤを支援してあげるヨ!
お代は後払いで良いネ!
カグヤが成り上がった後に、利権を色々と貰うヨ!
ギブ アンド テイク ネっー!」
なんだ、頭が電波なだけか。
私は可哀想な人を見る目で、メイリンを見た。
こんなに若くて可愛い猫耳美少女なのに、この娘の身に何があったのだろうか……?
まぁ、貰えるものは全部貰っておこう。
メイリンの身なりを見るにお金持ちだし、彼女からしたら百万ゴールドも端金なのだろう。
恩は生活に余裕が出来てから返却する。
「衣服もプレゼントヨー!」
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★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
それは絹で出来ている
それは回避力を90あげ、防御力を20上昇させる
それは炎では燃えない
それは酸では錆びない
それは筋力を維持する
それは耐久を維持する
それは感覚を維持する
それは生命を30上げる
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✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
それは絹で出来ている
それは(10d6)のダメージを与える(貫通率100%)
それは首狩りを発動する****
それは剣術への理解を深める**
それは槍術への理解を深める*
それは周りの時間を遅くする***
それは稀に時を止める*****+
下着として着用した場合、それは魅力を100上げる。
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赤色の美しい巫女服と、ピンク色のフリルが付いたパンティーを貰った。
女性の服を私が着るのは……女装?
いや、今の私は猫耳美少女だ。だから、こういう服は着ないといけないんだ。
私はまず、ピンク色のパンティーを手に取る。
ゆっくりと両足を通して履いた。
すると船の上にいる船員達が驚いた顔でこちらを見て騒いでいる。
「パ、パンティーを履くだとっ……!?」
「あの娘は何者なんだっ……!」
「さすが姉御の知り合いっ……!クレイジーだぜっ……!」
そういえば、この世界のパンティーは投擲武器だ。
しかも、恐ろしい殺傷能力を誇る殺人武器。
投げたら手元に戻ってくる効果つきの。
つまり下着として着用するのは非常識?
……でも、普通に下着として使えるぞ?
履き心地良くて柔らかいし、なんでパンティーを履かないんだ?
「アイヤー!さすがネっー!
カグヤは、この世界にパンティー下着文化を広めた人物だと初めて知ったアル!」
パンティー履くだけで、メイリンから変わり者扱いされる時点で辛い。
さっさと巫女服を着よう。
船員達が見ているがどうでも良い。
これだけのものを無料で貰うんだ。私の貧相な身体を覗かれるのはサービス料金という奴だ。
そう思って布の服を脱ごうとした瞬間、メイリンが慌てて叫んだ。
「アイヤー!
お前達見ちゃ駄目ヨー!
カグヤはアタシの身内ネー!見たら残業代カットー!」
その言葉に船員達は渋々と従う。
リーダシップもあるし、金持ちだし、メイリンは凄い娘だ。胡散臭くて電波っぽい所が欠点だが……。
~~~~
頑張って巫女服を着てみた。
最初は紅い袴が邪魔で歩き辛いかも?と思ったが、実際に着てみると歩きやすくて動いやすい。
メイリンが鏡を出して、今の私の姿を見せてくれる。
……そこには、黒い猫耳が似合う清楚なロリ巫女美少女がいた。
白い肌は美しく、黒い猫の尻尾がフリフリと横に動いている。猫耳もピョコピョコ動かす事が出来た。
中身が私である事を除けば……お持ち帰りしたいくらいに可愛い。
私の視界に映る光景が二次元アニメなせいで、地球に絶対居ないタイプの美少女に見える。
私はナルシストになるかもしれない。
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ここらへんでプラウザバックする読者さんが出そうだ。
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なんだ?このナレーション。
時々、意味がわからない文字が出るな。
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カグヤ Lv1 ※レベルで上がるのはHPとMPのみ。その他のステータスは食事と行動とスキルのレベルアップで上昇する。
所持金 0
所持金 0
筋力 3
耐久 4
器用 3
感覚 3
習得 10
意思 10
魔力 50
魅力 20(+100)
生命力:90(+30)
速度:2000
耐久 4
器用 3
感覚 3
習得 10
意思 10
魔力 50
魅力 20(+100)
生命力:90(+30)
速度:2000
クラス 魔法使い
獲得スキル 詠唱(魔法の成功率)瞑想(MP回復)エコ魔法(魔法のストック節約)魔力の限界(MP切れた状態で魔法使った時の反動を抑える)など×1000のスキル
状態異常
称号 『男女』
装備
手
頭
首
足
指
胴体 ★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
遠隔武器 ✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
弾薬
獲得スキル 詠唱(魔法の成功率)瞑想(MP回復)エコ魔法(魔法のストック節約)魔力の限界(MP切れた状態で魔法使った時の反動を抑える)など×1000のスキル
状態異常
称号 『男女』
装備
手
頭
首
足
指
胴体 ★神聖なる巫女服『カグラ』(90.20)
遠隔武器 ✩純白に光るパンティー『ピンクレディー』(10d6)
弾薬
どうでもいい設定③
メイリンは、●●ヤの●だ。
メイリン「ネタバレ禁止ネー!」
メイリンは、●●ヤの●だ。
メイリン「ネタバレ禁止ネー!」
【小説家になろう】 無職転生並にタイトルで損しそうだ【田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~】
http://suliruku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_8.html
【小説家になろう】 ダンジョンを一万回攻略したら・・・、「ダンジョン踏破回数分。ステータスが上がる身体になってもうた」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_20.html
今回のコメントまとめ+作者感想
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(´・ω・`)二度目の修正完了
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