序章~クッキング・マスター転生~

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公開日: 2015年11月21日土曜日 (✿╹◡╹)料理大好きエルフの異世界レストラン 自作小説

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【(✿╹◡╹)料理大好きエルフの異世界レストラン

老いた女料理人がベットで、二度と目覚めない眠りについていた。
彼女の名は『屈禁愚・魔棲汰(クッキング・マスター)』
現代日本に産まれ、0歳の頃に料理を覚え、幼稚園に入る頃には国一番の料理人に成り上がり、小学校に入る頃には全世界のありとあらゆる料理人を打倒した『最強の料理人』である。
僅か10歳にして不老長寿になれる『仙人料理』を開発し、幼い愛らしい姿のまま戦い続けた。
唯一、老齢を感じさせるのは白髪だらけになった頭髪のみ。

「料理は人を幸せにするためにある!
料理をそんな事に使っちゃダメなんです!
このハンバーガーを食べて下さい!」
「「ぅゎょぅι゛ょっょぃ!」」

料理を殺人に使う『裏料理殺人大会』があれば、それに出場し、誰も殺さずに感動のフィナーレとともに大会を終わらせ、参加選手全員を弟子にする快挙を成し遂げた。

「争う前に私の作ったシチューを飲んでください!争いは死体しか産みません!」
「「この味はアッラー!?」」

中東の泥沼の紛争地帯。未来永劫続くかと思われた悪夢の料理闘争を、飲んだら心の底までスッキリーするシチューで解決し、平和へと導いた。

「私の料理を食べてください!不味かったら地球を滅ぼしても良いです!」
「ふははははっ!この帝王に挑むのかっ!
貴様が敗れれば地球人は皆殺しだ!」

宇宙からやってきた悪の帝王ギョウザ。宇宙中を荒らし、料理で大量虐殺をやる大悪党すらもホカホカのハンバーグ定食で改心させ、地球を、いや全宇宙を救った。
彼女の書いた料理攻略本は聖書として扱われ、宇宙的ベストセラー。
宇宙規模の大規模連合を美味しい料理で作らせ、宇宙平和に貢献。
そんな多くの偉業を残した彼女は今――死のうとしている。
究極の料理人といえども、死には勝てなかった。
もうすぐベットの上で安らかに永遠の眠りにつく。
彼女の周りには、涙を流す百兆人の弟子が地平線の彼方まで埋め尽くし、己の師へと必死に呼びかけた。

「クッキング・マスター!死なないでください!」
「俺、裏料理大会で改心してから、アンタに料理を食べさせるのが人生の目標だったんだ!
死ぬなよ!俺の料理を食う前に死ぬなよぉー!うわぁぁぁぁんっ!」
「貴様ぁー!死ぬ事は許さんぞぉー!き、貴様が死ねばっ!この悪の帝王ギョウザっ!宇宙を荒らす大悪党に戻ってしまうかもしれんぞぉー!
だから生きろぉー!生き返れぇー!俺にハンバーグ定食を食べさせろぉー!うわぁぁぁぁぁぁん!!」

世界は残酷だ。強面の料理医師が泣きながら叫んだ。

「クッキング・マスター!死亡っ!確定っ!」

心臓が脈動を止めた。クッキング・マスターは死に屈した。
彼女の死は宇宙の損失。
全宇宙に住む10の68乗(無量大数)人の知的生命体が、その悲報に涙し、聖書(料理攻略本)を頭上に掲げた。

「「死出の旅に、ホカホカのご飯がある事を願う!
去らばっ!我らが英雄クッキング・マスター!」」

こうして……ぅゎょぅι゛ょっょぃ伝説は、伝説から歴史となった……。






「クッキングマスター!死に敗北するとは情けない!情けないぞぉー!」

死んだ彼女に呼びかける声がある。威厳が篭った神秘的な声だ。
魂だけの存在と化した彼女は目を覚ました。
目の前に大いなる光の塊がある。とっても暖かくてポカポカして安心できる存在だ。
その正体をすぐに理解できた。料理人なら誰だって知っている。料理の道を志した者を導く究極の存在――

「ま、まさか、あなた様は料理の神様!?」

そう、神様だ。
宇宙を救ったクッキングマスターに比べれば……料理の腕がかなりショボイが神様だ。

「クッキングマスター!自分を神様だと名乗る安っぽい神がいると思ったか!
……ああ!そうだ!我は料理の神だ!
貴様はとっても情けないぞ!たかだが千歳ちょっとで亡くなるとは……恥をしれ!
それでも宇宙を救った料理人か!」

大いなる光に向かって、彼女は頭を下げた。

「す、すいませんっ!神様!」
「たった千歳で死んだ貴様に罰を与える!
残酷で辛い罰をなっ!」
「?」
「貴様に不老不死に近いハイエルフの体を与えよう!クッキング・マスター!
料理への圧倒的な愛情と才能っ!貴様を普通に転生させるのは勿体無いっ!」

神様が何を言いたいのか彼女は理解した。
――もっともっと料理の道を極めろ。ホカホカの美味しいゴハンを作れと、神様は自分に言ってるのだと。
大いなる光から響く声はまだまだ続く。

「貴様が転生する世界はっ!空が宇宙の代わりに無限に広がるスカイ・ワールド!
貴様に死なれたら困るからっ!超安全地帯に転生させてやろう!
そこで料理の腕を極めるのだ!
それが貴様が受けるべき罰っ!どうだ!?残酷だろう!
貴様の宿命はっ!美味しいゴハンを作り続ける事なのだ!」

ツンデレだ。明らかに料理の神はツンデレだった。
クッキングマスターは涙を流す――この世界には神も希望も美味しいホカホカご飯もあったんだなと。

「神様っ!私頑張ります!
そこで究極の料理を完成させます!」
「だがっ!残念な事にっ!
全く違う種族に転生するとっ!貴様の記憶のほとんどが消えてしまう!
だがっ!貴様の料理への愛情と魂っ!
それがあれば道を切り開けるはずだ!クッキングマスターっ!」

そう言うと、大いなる光はパァーと太陽みたいに輝き始めた。うぉ眩しっ!
明らかに転生させる前の準備行動っぽい何かだ。
クッキングマスターは、自分の記憶がなくなってしまう事を残念に思った。
今までの料理へ費やした日々を彼女は思い出す。
地球を裏から支配するドン・アースに、焼き芋を食べさせて、地球平和を勝ち取った日。
通りすがりの料理の神様に圧勝して「人間ごときに負けた!?」泣かれた日などなどを思い出した。
長い千年の人生を振り返って思った事がある。

「あ、私、恋愛してなかった……」
「羽ばたけー!ゆけぇー!クッキングマスターっー!
異世界が貴様の料理を待っているぞぉー!」
「恋愛も頑張った方がいいのかなぁ――」

彼女は容赦なく転生させられた。

前にゆっくり戻るよ! ゆっくり次に進むよ!
【(✿╹◡╹)料理大好きエルフの異世界レストラン

8 件のコメント :

  1. (´・ω・`)コメディ風。
    笑いを取りたいよう

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  2. >屈禁愚・魔棲汰

    一瞬DQNネームかと思ったが名字がこれなら逆に普通の名前をつけると浮きまくると思い直した。
    さすがパルメさん、ネーミングセンスもひと味違うぜ……。
    ……両親、なんて名前だったんだろうか。

    時に、最初の一回以降は全部クッキング・マスターとカタカナじゃ無いですかーw

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    1. (´・ω・`)カタカナはすごい発明じゃけん。
      読む難易度を格段に下げてくれるけん

      >……両親、なんて名前だったんだろうか。

      (´・ω・`)子育て放棄しちゃうキラキラネームさん達

      削除
  3. こぴぺ

    『サラメシ』のシノダ課長が人生を統括! 23年間を費やした「ごはん絵日記」44冊を書籍化 - Excite Bit コネタ(4/5):

    篠田さん “本当に好きなもの”とは違いますが、永井荷風が最後に食べたのって、カツ丼なんですよね。だから私も、死ぬ間際にカツ丼を食べられたら幸せだと思いますね。
    ――カツ丼ですか!
    篠田さん やっぱり僕らが子供の頃のご馳走と言ったらね、カツ丼しかなかったんで。そういう意味では、今でもそうですよね。死ぬまで、カツ丼を食える人生でありたいなぁと思いますね。
    ――あぁ、体調を気にしてカツ丼を食べられないというのも、イヤですもんね。

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    1. (´・ω・`)トンカツネタはもう書いた。5話の予定どん

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    2.   大阪で東京X
      2015/12月01日 11:18 行列日本一のとんかつを食べてきて死んだ - デイリーポータルZ:@nifty: 80 users

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    3. >行列日本一のとんかつを食べてきて死んだ -

      (´・ω・`)矛盾

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    4. 最後の晩餐、お好み焼き豚玉だな。
      次点以下はカレーとか春巻きとか牡蛎フライとかジャーマンポテトとかポテトサラダとかつくねとか。
      うん?実はマヨネーズなのか?

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