Lv14「不死王と発明エルフ③~お野菜さん帝国~」 【この中に一人っ!ラスボスがいる!
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公開日: 2016年8月11日木曜日 この中に一人っ!ラスボスがいる! 自作小説
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【LV0の不死王!~骨、ほぉね、ボーン!~】 の外伝
危険なキャベツを駆除する大騒動で、精神的に疲れたワルキュラは皇后とイチャイチャして癒された。
しかし、皇后が寝静まると――元凶であるアトリが寝室へと入ってくる。
とっても、素敵な笑顔だ。周りに迷惑かけても全く気にしていない。
「農業省と一緒に、今度は野菜工場を作ったのですよ~」
「たった……一日で作ったのか?」
「一日じゃないのですよ?
こっちに来て欲しいのですよ~」
不思議と違和感を感じた。
なぜか、目の前にいるアトリが可笑しい。ワルキュラはそんな気持ちにさせられる。
宮殿の中の通路――全く見覚えがない怪しげな道を通る。
周りに変な模様がたくさんあって、空間がグニャグニャと曲がっている。
(新しく発明した魔法なのだろうか……?
宮殿にこんな通路があったら……地震で崩れるような……?)
耐震性が気になる、そんな通路だなぁと、ワルキュラは思った。
アトリの背中をホイホイと追いかけて、通路を突き進む。
「こっちなのです~」
気づけば、目的地へと着いていた。
宮殿の敷地内に、なぜか巨大な工場地帯がある。
明らかに宮殿よりサイズが大きくて可笑しかったが……アトリが新しい魔法を開発したのだろうと、納得する事にした。
一番納得できないのは――工場の入口にいる守衛が、手足がついた真っ赤なニンジンさん。宮殿の警備兵は、動く骸骨を占めているはずなのに、これは可笑しかった。
「むぅ……?」
ニンジンには、デフォルメされたイラストみたいな目玉がついている。
それが余計に不気味さを感じさせた。まるでこの世の者とは思えない。
二次元のキャラクターが、三次元に迷い込んだような怖さがある。
「ニンジン嫌いな娘はいねぇーかぁー。
ニンジンは栄養がたっぷりなんだぞー」
しかも、ニンジンが喋った。渋い声だ。
アトリは嬉しそうに、この喋るニンジンを指し示して――
「なんとっ!今回作った野菜工場はっ!
食材が働いて、食材を調理する完全無人工場なのです!」
失業者が増える発明すぎて、ワルキュラは驚愕した。
食品業界は人件費がたっぷりかかる傾向にあるから、機械を導入して効率化しないと駄目だが――さすがに完全無人化は、雇用そのものを奪って、無職を量産するから駄目すぎる。
雇用が喪失すれば、消費者も自動的に減って、市場が小さくなってしまうから、こんなものを正式採用する訳には行かなかった。
こんな事を考えて、ワルキュラが現実逃避している間にも、アトリは工場の奥へと入っていく。
「ワルキュラ~。
こっち、こっち、なのですよ~」
ワルキュラはその後を追う。
その途中で、とんでもないものを見た。
ジャガイモが、ミキサーで粉々にされている光景を見てしまった。
動いて喋るジャガイモだ。やっぱり手足が生えていて、大きな目玉がついている。
「人間様のためにっー!栄光あれー!パピプペポッ!?」
大量の刃が高速回転する音とともに、ジャガイモは死んだ。どう見ても自殺にしか見えない。
「ワルキュラ様のためにっ!ポテトに生まれ変わるのだぁー!」
「美味しくなぁーれ!美味しくなぁーれ!ヒデブッ!」
数百、数千……大量のジャガイモが仲良く行列を組み、死ぬために、次々とミキサーや粉砕機に突撃している。
その光景を見て、軽い目眩を覚えた。
ワルキュラは、不死者だから、こういう生理的な現象とは無縁なはずなのに、なぜか、目眩がする。
「こ、これはこの世の地獄かっ……!?
アトリ師匠は……!なんて物を作ってしまったんだっ……!」
「単純に、食べてもらいたがっているのですよ」
いつの間にか、隣にアトリがいた。エルフ耳をピョコピョコさせて嬉しそうだ。
この地獄みたいな風景を作り出した張本人には見えない。
「た、確かに、喜びながらミキサーとかに突撃しているな……。
これが野菜の意思なのだろうか……?
そう考えたら献身的で、良い奴らだな……」
「最初は、ジャガイモさん達は泣いてたのですけど、洗脳魔法で頑張ったのです」
「!?」
「ワルキュラや人間のために働けば、ジャガイモ族は永久に不滅だと洗脳したら、積極的に調理を手伝ってくれるのですよー。
おかげで、人件費を完全削除できて、超安いポテト料理の出来上がりなのです~」
国際問題。ワルキュラの脳裏に、それが思い浮かんだ。
この工場の存在がばれたら、確実にマスコミに叩かれて大問題になる。
お野菜さんに人権なんてものは存在しないが……喋れる知的生命体を洗脳して残虐な方法で殺し、美味しく加工している事がばれるのは不味い。
ジャガイモ達は、幸福そうな顔で、次々とミキサーに突撃して死んでいるところが狂気たっぷりでホラーだ。
とってもテレビ映えしそうな感じに、酷すぎる光景でやばい。
「僕は美味しいふかし芋になるんだ!」
「へへん!僕なんて卵不使用のクッキーになるんだよ!」
「俺は薄切りポテトになるんだ!」
ワルキュラが考えている間も、数百、数千のジャガイモがバラバラに切り裂かれる。
そんな自殺の列の中に、1匹の小振りのジャガイモがいて、猛烈な殺意をワルキュラに向けていた。
人類に虐げられた、お野菜さんを代表するかのような強い意志がそこにありそうだ。
食用ジャガイモとして、人生を終える気は全くないようだ。
「皆ぁー!絶対!こんなの可笑しいよ!
僕たちは食べられるために生まれてきたんじゃないよ!
皆っ!僕の言うことを聞いてね!」
列の横に飛び出て、覚悟を決めたジャガイモ(反乱)は、他のジャガイモ達に必死に語りかける。
「皆っ!正気になろうよ!
ここで調理されたらっ!そこで野菜人生終了なんだよ!?皆の命は尊いんだ!?
人間のいう事を聞く必要ないよ!」
「「僕たちは食べられるために産まれてきたんだよ!」」
「皆、死ぬのが怖くないの!?」
「「僕たちの死は無意味じゃないよ!
種族全体の利益になっているよ!だから、君も一緒に美味しいジャガイモになろうよ!」」
「嫌だよ!?
僕は死にたくない!
ここから逃げようよ!あの悪魔(ワルキュラ)が作った地獄から逃げよう!」
ジャガイモ(反乱)の真摯な言葉への返答は――ジャガイモ達の圧倒的な怒りだった。
「「こいつ不良品だっ!
ワルキュラ様に逆らうっ!とんでもない不良品がいるぞ!」」
「え?」
「「人間様に食べてもらえない不良品はゴミ箱に行かなきゃ!」」
ジャガイモ(反乱)は、他のジャガイモ達に取り囲まれた。
包囲網の中から、鈍い撲殺音が何度も響き、1分後にはバラバラなお野菜さんになっている。
10分後には、列に並んでいたジャガイモ全てがミキサーに突撃して、様々な料理に加工され、この世を去った。
ワルキュラは悲しい気持ちに浸る。人を幸せにするはずの魔法が……現世に地獄を作り出してしまった事を。
「……アトリ」
「どうです?
私に、惚れ直したのですか?」
「この工場、封印指定な」
「そんなー!?
衛生上、何の問題もないのですよ!?」
「倫理観が駄目すぎて、この発明で人類が滅びる気がする……
人類のマイナス面を見て欝になりそうだ……」
「で、でも、家畜より幸福ですよ?
自ら積極的に自殺しているのです」
そう言ってアトリは、言葉をゆっくり続けた。
「それに考えて欲しいのです。
……魔法をかけてない野菜も、きっと自分の意思を持っているはずなのですよ?
人間とコミュニケーションを取る手段がないから、一方的に殺されて、食われてしまう被害者なのです。
なら、この方がお互いのためになると思うのです~」
違和感を感じた。このアトリは異常すぎる。
宮殿にある謎の通路と言い、今回の事は悪夢としか思えない。
野菜に人間並の知能を持たせて、不幸を量産するなんて……正気の沙汰ではない。
野良のアンデットが大量発生したら、どうするつもりなのだろうか?
「アトリ……いや、お前は誰だ?
今日のアトリは可笑しい」
ワルキュラは思わず、呟いた。
大切な師であり、お嫁さんの一人であり、家臣でもあるエルフ娘に問いかけた。
気づけば、アトリの顔が、ジャガイモになっていた。
「これからミキサーに突撃なのですよ~。
美味しく食べて欲しいのです~。
好きな人に食われて人生を終えたいのですよ~」
~~~~~~~~~
「はっ!?」
ワルキュラは、巨大なベットの上で、目を覚ました。
隣には、皇后のルビーが安らかに眠っている。
……これで、全ての疑問が解けた。
宮殿内の謎の通路、超怖い野菜工場。
あれらは全て夢だったのだと、ワルキュラは思い込んだ。
「……俺は精神的に疲れているのだろうか?
アトリがあんなに酷い娘な訳がないよな……?うむ」
金髪で、オッパイも豊かで、天然で、お姉さん属性のエルフ娘があんな酷い工場を作るはずがない。
農業省も、幾らなんでも――おぞましいシステムを採用するはずもない。
あれらは全て、ワルキュラの妄想だったのだ。
(あんな夢を見る時点で……疲れているな、俺)
悪夢を見た原因は簡単に理解できる。
キャベツさんを大量処分したからだ。
恐らくはその罪悪感を処理するために、悪夢という形で、こんな酷い夢を見てしまったのだろう。
なぜか、キャベツが全く出ずに、ジャガイモばっかり登場している所は謎だったが。
「もう一眠りするか――」
「ワルキュラ~」
ビクンッ! ワルキュラの体が心臓もないのに恐怖で震えた。
笑顔のアトリが寝室へと、容赦なく入ってくる。
「新しい発明を見て欲しいのです~
農業省と一緒に、今度は野菜工場を作ったのですよ~」
お し ま い
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【LV0の不死王!~骨、ほぉね、ボーン!~】 の外伝
(´・ω・`)眠たいから、細かい修正は明日ゆっくりやる
返信削除手塚おさむの火の鳥やね
返信削除あれは人間と同じ種?が解体されて活け作りにされてたけど
なろうだと無限の先?とか言うので
牛が人に美味しく食われる為の談義してるのあったわ
シュールすぎる物ってリアルに組み込むとホラーよね
お野菜さん(´・ω・`)パルメは読んだ事がない作品を、パクル天才だった。
削除それほど神経質にパクリとか考えなくて良いんじゃないですか?
削除まあ個人的意見にすぎませんけどw
実際火の鳥をオマージュしてる作品色々ありそうだし
創作物についてパクリなどと言われたら
その時点で相手も火の鳥のパクってるのばれるしw
まあパクリとは一線を画す為にオマージュ、パロディ、インスパイア、トリビュート、アレンジ、焼き直し、カバー、リメイク、etc
色々言い方出来てるんですしねw
(´・ω・`)パルメは読んだ事がない作品をリメイクし、焼き直し、オマージュする達人しゃん(´・ω・`)
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